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【2026年5月第2週】銅(LME)週次レポート — COMEX 6.1ドル/lbで週間+3%超・史上最高値に再接近、中国が硫酸輸出を5〜12月禁止しチリ精錬50%制約が長期化

THE SUPPLIER · 素材カスケード分析

銅(LME)— COMEX 6.1ドル/lbで週間+3%超・史上最高値に再接近、中国が硫酸輸出を5〜12月禁止しチリ精錬50%制約が長期化

2026年5月第2週(5月4日〜8日)
第1層: 上流ショック(実データ)
COMEX銅先物(5/8)
6.1+
USD/lb(週間 +3%超 1/29史上最高値6.2に再接近)
年初来 +15%超 4週間ぶり週間プラス
LME銅(4月平均)
12,951
USD/t(円換算 2,063円/kg)
前年比 +15%超 国内建値2,100〜2,200円/kg水準
中国・硫酸輸出禁止(5〜12月)
約300万t
(海上市場から除外)
チリ精錬能力の約50%に制約 政策的制度化で解消困難
LME在庫 vs COMEX在庫
14万 vs 49万t
(LME枯渇 COMEX急増)
関税期限6/30に向け地域分断が拡大
伝播経路 — 5層カスケード
第1層
原料
チリ銅精錬(硫酸禁輸で50%制約)
ホルムズ封鎖→硫黄停滞→中国が5〜12月に硫酸輸出禁止→チリ精錬能力の約50%に影響 Q1生産△6%既に減少
COMEX—LMEの地域分断
関税期限6/30向け事前調達でCOMEX約49万t(急増)LME約14万7千t(枯渇)非米国市場で現物逼迫
第2層
中間材
精製銅・電気銅(LME基準)
12,500〜13,500ドル/t LME在庫枯渇で現物プレミアム拡大 日本向けプレミアム上昇中
銅建値(JX金属)
推計2,100〜2,200円/kg 2020〜23年平均の約2倍 四半期連動改定
第3層
中間製品
電線・ケーブル
住友電工・古河・フジクラが建値連動改定 AI・DCの電力ケーブル需要増で量・価格が同時上昇
銅合金・銅管・銅箔
自動車・空調・PCB・半導体パッケージ向けBOM急増
第4層
最終製品
自動車・EV(ハーネス・モーター)
ICE 20〜30kg/台 EV 50〜80kg/台 EV化が銅コスト増の逆説的増幅因
電機・再エネ・DC・建設
変圧器・送電・DC電力ケーブル・電気配管コスト急増 GX投資需要増と価格高騰が同時進行
第5層
生活・マクロ
家計・CPI
EV・家電・住宅コスト上昇が6〜9か月後にCPI耐久財・住居費へ 秋以降の物価動向に影響
GX・関税・為替政策
ベセント訪日5/11〜 関税・為替シグナルがCOMEX銅を直撃 6/30期限前の最終局面
業界別アラート
チリ銅精錬各社(Codelco・BHP・Freeport)
硫酸輸出禁止5〜12月で精錬能力約50%制約。チリの銅生産量は2026年を通じて前年比10%以上の減少リスク
精錬制約深刻
〜12月
最高警戒
住友電工・古河電工・フジクラ(電線)
銅建値2,100円超で製品改定サイクルが加速。DC・再エネ需要増で量増×価格高騰の二重プレッシャー
転嫁進行中
Q2〜継続
注意
トヨタ・ホンダ・日産(自動車)
EV化でハーネス銅使用量が最大3倍に増加する中での銅建値2倍超。採算圧迫が構造化
コスト圧力増
継続中
注意
三菱商事・住友商事・JX金属(銅権益)
LME高×円安で権益収益が大幅改善。チリ精錬制約による供給減少が権益バリューをさらに高める
収益好調
継続
モニタリング
米国関税審査(2026年6月30日期限)
精製銅2027年15%→2028年30%の方針決定シグナルでCOMEX急変動。事前調達の最終局面が到来
期限迫る
6月30日
最高警戒

結論サマリー

COMEX銅先物は5月8日(金)に6.1ドル/lbを超え、週間で3%以上の上昇を記録する見込みとなり、1月29日に記録した史上最高値6.2ドル/lbに再接近している

LME銅の4月平均は12,950.96ドル/tと、円換算で2,062.89円/kgに達しており、前年同期比15%超の上昇が続いている。

今週最大の新展開は、「中国が5月から少なくとも12月まで硫酸の輸出を全面禁止した」という供給サイドの重大な変化だ。

この禁止措置により世界の海上硫酸市場から約300万トンが除外され、チリ・インドネシア・インドなど主要輸入国への影響が甚大となっている

チリは世界最大の銅生産国であり、その銅精錬プロセスに硫酸が不可欠であることから、チリの銅生産は2026年Q1ですでに前年比約6%減少していたが、硫酸供給途絶によって精錬能力のさらに約半分が制約を受ける新局面に入った

これはホルムズ封鎖→硫黄輸出停滞→中国が硫酸輸出を規制(当初)していた構造に、今度は「中国が正式に輸出禁止」という政策的対応が加わった形であり、供給制約の制度化を意味する。

米国の精製銅関税審査期限(6月30日)に向けた先回り調達がCOMEX在庫を膨らませ(約492,523トン)、LME在庫(約147,425トン)が枯渇する「地域間再分配」の構造も続いており、日本の電線・自動車・再エネ産業は歴史的な高コスト環境への対応を迫られている。

今週の動き

銅は今週、エネルギー価格の軟化によるコスト改善期待と、中国の硫酸輸出禁止による供給制約の深刻化という二つの力が重なり、強い上昇週となった。

週初のエネルギー価格緩和が世界的な成長と産業金属の需要に対する圧力を軽減したこと、そして大手テクノロジー企業のデータセンター建設契約が続いていることが銅の長期需要見通しを支えた

週半ばにかけて米国がイランへ停戦覚書を送付してイランの回答待ちという状況が続き、米国が「合意が成立すればホルムズ海峡を通じたエネルギー供給を即時促進する」と表明したことで停戦期待が高まり、さらに銅の買いを促した。

5月8日の終値時点でCOMEXは6.1ドル/lbを超えており、週間上昇率は3%超と非鉄金属の中で最も強い動きの一つとなった。

直近5日間の値動き

5月4日(月)、GW明け国内再開日は前週の高値水準(6.0ドル/lb前後)を維持して始まった。

5月5日(火)、中国の硫酸輸出禁止(5〜12月)の報道が正式に確認されチリへの影響が改めて焦点となり、供給懸念で銅が6.0ドル台を固めた。

5月6日(水)、ブレント急落局面で製造業コスト改善期待から産業金属全般に買いが入り、銅は6.0〜6.1ドルのレンジで続伸した。

5月7日(木)はイランの反発報道を受けて一時調整したが、硫酸禁輸という新たな供給制約の認識が定着しており下値は堅かった。

5月8日(金)に6.1ドル/lbを超え、1月29日の史上最高値6.2ドルに迫る水準で週を締めた。

今週の主要因

第一の要因は、中国の硫酸輸出全面禁止(5〜12月)という政策的な供給制約の制度化だ。

この措置は世界の海上硫酸市場から約300万トンを除外し、チリの銅精錬能力の約半分に影響を与えると予測されている

当初はホルムズ封鎖→中国への硫黄輸送停滞→中国が硫酸の対外供給を制限という「制約」だったものが、今回の公式禁輸措置で「制度化された供給遮断」に格上げされた。

第二の要因は、米国の関税期限に向けた構造的な事前調達の継続だ。

6月30日の関税審査期限(2027年から15%、2028年から30%の精製銅関税の要否判断)に向けて、米国向けの精製銅の事前搬入が続いており、COMEX在庫が約49万トンに積み上がる一方でLME在庫は約14万7,000トンと枯渇水準にある

第三の要因は、AI・データセンター建設による長期需要期待だ。

大手テクノロジー企業がデータセンター建設を飛躍的に増加させる契約を続けて締結しており、電化およびグリッドインフラにおける銅の役割からくる長期需要見通しが価格を支えている

5層カスケード分析

銅は「ドクター・カッパー」として世界経済の体温計と呼ばれると同時に、電化・AI・再エネ・EVという複数の構造需要が重なる素材として、今やあらゆる産業の原料コスト計算の根幹を揺るがしている。

第1層と第2層: 原料と中間材

銅の価格形成は2026年に入って三重の構造変化に直面している。

第1の変化は、COMEX—LME価格の地域間分断の深化だ。

米国の関税前倒し調達でCOMEX在庫が約49万トンに膨らむ一方、LME在庫が約14万7,000トンと枯渇水準にあり、米国外市場での現物確保が難しくなっている

この地域間の「見えない在庫格差」が、LMEとCOMEXの価格差(プレミアム)を拡大させており、日本企業はLME高水準での調達を余儀なくされている

第2の変化は、チリ精錬への二重の制約だ。

チリの銅生産はすでに2026年Q1に前年比6%減少していたが、中国の硫酸輸出禁止(5〜12月)が加わり、精錬能力の約50%に影響が及ぶ新局面となった

精製銅の物理的な供給量が市場予測を恒常的に下回る状況が固定化されつつある。

第3の変化は、鉱山供給の長期的な制約だ。

コンゴのGrasberg鉱山(世界第2位)の操業制約・チリの鉱石品位低下・水問題が続いており、増産余地が限られる中での需要拡大が価格のフロアを引き上げている。

LME銅4月平均12,950.96ドル/t(円換算2,062.89円/kg)は、2024年平均の1,500〜1,700円/kg水準から約25〜35%高い水準が続いている

日本の銅建値(JX金属発表)は現時点でLME 13,000〜13,500ドル/t×156円/ドル÷1,000を基礎として2,100〜2,200円/kg水準で推移していると試算される。

第3層: 中間製品

電線・ケーブル(住友電工・古河電工・フジクラ・日立メタル)は銅建値を四半期または月次で製品価格に転嫁する仕組みを持ち、2,100〜2,200円/kgという建値は2020〜2023年の平均900〜1,200円/kgの実質的に2倍近い水準だ。

銅合金・黄銅・銅管などの加工品も連動して上昇しており、自動車部品・空調・水道配管など幅広い製品コストに波及している。

精製銅の輸入商社は在庫評価損・建値急変時のポジション管理という両面のリスクを抱えており、LME先物を使ったヘッジ戦略の巧拙が収益を大きく左右している。

第4層: 最終製品への波及

自動車・EV業界

乗用車1台に平均20〜30kg(EV:50〜80kg)の銅が使われており、ワイヤーハーネス・モーター・インバーターに不可欠だ。 トヨタ・ホンダ・日産が推進するEV化は、逆説的に銅使用量を増大させており、EV普及と銅コスト上昇が自動車産業の採算を同時に圧迫している。

電線・電機・インフラ

住友電工・古河電工・フジクラの大手電線3社は銅建値連動の製品価格体系を持ち、建値上昇分を定期改定で転嫁する。 AIデータセンター急増による電力ケーブル・変圧器需要の増加は、需要強化と価格上昇が同時進行する構造を生んでいる。

再エネ・送電インフラ

太陽光・風力発電設備と送電網には大量の銅が使われる。 政府が進めるGX政策での送配電網強化投資は今後10年で数十兆円規模とされており、銅の構造的需要を底上げしている。

建設・住宅

電気配線・空調・給水管の銅コストが上昇し、住宅建設費を押し上げている。 RC工事・設備工事のコスト増として建設費デフレーターに反映されており、新築住宅価格の上昇圧力の一角を担っている。

半導体・電子機器

半導体パッケージング・PCB・マザーボードに不可欠な高純度銅箔・銅配線のコストが上昇しており、スマートフォン・PC・産業用電子機器のBOMが増加している。

第5層: 生活・マクロへの波及

銅建値2,100〜2,200円/kgという水準は、電化の進展とともにEV補助金込みの購入コスト・住宅建設費・家電価格を通じて家計に届く。

CPI非エネルギー工業品への反映は製品改定のタイムラグ(6〜9か月)を経て顕在化する見込みで、秋以降の物価動向に影響する変数となる。

ベセント財務長官の訪日(5月11日〜)で為替政策や関税政策に関するシグナルが出れば、COMEX銅に直接影響を与え、日本の銅調達コストを通じて製造業全体のコスト計算に波及する可能性がある。

今後の展望

6月30日の米国関税審査期限と、中国の硫酸輸出禁止がチリ精錬に与える実際の影響度が、6月以降の銅価格を決める二大変数だ。

来週の注目ポイント

最大の焦点は米イランの停戦回答だ。

停戦合意が成立すれば、硫黄輸送が徐々に回復する可能性があるが、中国の硫酸輸出禁止は5〜12月という政策期間が設定されており、ホルムズ再開だけでは即座に解消しない点が今回の新たな構造的変化だ。

ベセント財務長官の訪日(5月11日〜)での関税政策言及は、COMEX銅先物の方向性を短期的に大きく動かす可能性がある。

LMEの週次在庫報告と、チリの主要製錬所の操業率に関するニュースが、物理的な供給量を把握する最重要指標だ。

1か月先の見通し

6月の銅は、停戦成立×硫酸輸出禁止継続というシナリオで11,500〜13,000ドル/t、交渉継続×硫酸不足深刻化では13,000〜14,500ドル/tが想定レンジとなる。

6月30日の関税審査期限を前にしたCOMEXへの最後の駆け込み調達が加速した場合は、LMEから銅が大量に引き出されて14,000ドルを試す展開もある。

一方、中国の国内需要の伸び悩み(不動産セクターの低迷継続)が、高価格への需要感応度を鈍らせて13,000〜14,000ドルの上値を抑制する可能性もある。

3か月先の構造的展望

8月末に向けた中期では、「銅の市場分断」という2026年最大の構造問題がさらに明確になる。

米国関税の段階的導入(2027年から15%→2028年30%)が決定すれば、COMEX在庫は最終的に消化されてLMEとの価格差が縮小するが、その過程でLMEの現物プレミアムが急変動するリスクがある。

チリの精錬回復は中国の硫酸輸出禁止が解除される2026年12月以降を待つ必要があり、それまでは精製銅の物理的な供給制約が続く見込みだ。

ゴールドマン・サックスの2035年LME銅予測は15,000ドル/tと長期的な強気見通しが続いており、AI・EV・再エネの構造需要拡大と鉱山供給の頭打ちがこの予測を支えている。

リスクシナリオ

上方リスクは関税前倒し発表と中国の追加供給制限だ。米国が精製銅関税を2026年後半から前倒し実施すると発表した場合、さらなるCOMEX駆け込みでLMEが急騰し、6.50ドル/lbを超える可能性がある。

下方リスクは中国の景気急失速だ。不動産セクターの悪化再燃で中国の銅消費が急減した場合、世界最大消費国の需要減でLMEが12,000ドルを割り込むリスクがある。

独自リスクはチリ精錬の長期停滞だ。硫酸不足が当初の予測より長引いた場合、精製銅の物理供給が市場予測を恒常的に下回り、スポットプレミアムが急騰するシナリオがある。

業界別の対応指針

調達担当者

JX金属の銅建値(翌月分)とLMEの公式レートの両方を毎日確認し、建値と市場の乖離を把握することが基本だ。

6月30日の米国関税審査期限前後にCOMEXとLMEの価格差が急変する可能性があるため、この時期のスポット調達は特別な注意を要する。

中国の硫酸輸出禁止(5〜12月)がチリ精錬に与える実際の影響度をモニタリングするために、チリ銅鉱公社(COCHILCO)の月次生産統計を定期確認する体制を整えることが調達精度を高める。

経営者

2,100〜2,200円/kgという銅建値が「構造的な高値環境」として少なくとも2026年内は続くリスクを前提に、製品設計段階での銅使用量削減・アルミ等代替素材の検討を中期的な製品開発方針に組み込む判断が競争力に直結する。

中国の硫酸輸出禁止という「政策的供給制約」が加わったことで、従来のファンダメンタル分析だけでは不十分となっており、中国の資源政策を調達リスク管理の常時監視対象として位置づける体制の構築が急務だ。

投資家

住友電工・古河電工・フジクラなど電線大手の売上単価押し上げという銅高の恩恵と、製品価格転嫁タイムラグ期間のマージン圧迫という二面性が株価に影響する局面が続く。

三菱商事・住友商事・JX金属など銅権益を持つ企業は、LME高と円安の組み合わせで権益収益が改善しやすく、恩恵側のポジションにある。

COMEX−LMEスプレッドの動向は、6月30日期限に向けた市場の関税政策期待を読む最も信頼性の高い実勢指標の一つだ。

よくある質問

Q1: 今週なぜ銅が上昇したのですか?

中国が5月から少なくとも12月まで硫酸輸出を全面禁止したことで、チリの銅精錬能力の約50%が制約を受ける供給懸念が強まりました。加えてエネルギー価格の緩和による製造業コスト改善期待と、AI・データセンター建設需要への期待が重なり、週間で3%超の上昇となりました。

Q2: 中国の硫酸輸出禁止はなぜ銅価格に影響するのですか?

銅の精錬プロセスには硫酸が不可欠で、チリ(世界最大の銅生産国)は中国からの硫酸を大量に輸入しています。中国の輸出禁止でこの供給が絶たれると、チリの精錬能力が約半分に制約され、精製銅の物理的な供給量が大幅に減少するためです。

Q3: COMEXとLMEで銅価格が異なるのはなぜですか?

米国が精製銅への関税導入(2027年から15%)を検討しており、関税施行前に銅を米国内に搬入しようとするトレーダーがCOMEX倉庫に在庫を積み上げています。これがLMEから銅を引き出してCOMEXプレミアムを生む構造で、6月30日の審査期限に向けてこの動きが続いています。

Q4: 日本の銅建値はいくらですか?

5月第2週時点の試算では、LME13,000〜13,500ドル/t×156円/ドル÷1,000=約2,028〜2,106円/kgが基礎計算値で、国内流通プレミアムを加えた実効建値は2,100〜2,200円/kg水準と推定されます。2020〜2023年の平均900〜1,200円/kgから実に約2倍近い水準が続いています。

Q5: 来週の銅市場で注目すべきことは何ですか?

米イランの停戦回答とベセント財務長官の訪日(5月11日〜)での関税政策コメントが最大の注目です。また中国の硫酸輸出禁止がチリの精錬操業に与える実際の影響度(月次生産データ)の確認も重要です。LME在庫の週次変動は物理的な需給逼迫を確認する最重要指標として毎週確認してください。

まとめ

今週の銅市場は三つの構造的転換点を示した。

第1のポイントは、中国の硫酸輸出禁止(5〜12月)という「政策的供給制約の制度化」が、チリ精錬リスクを従来の「地政学的不確実性」から「確定した制約」に格上げしたという点だ。

ホルムズ封鎖→硫黄停滞→中国の輸出制限という連鎖は「停戦で解消する」という見通しがあったが、中国が5〜12月の正式禁輸措置を打ち出したことで、停戦後も精錬制約が少なくとも12月まで続くという新しい現実が生まれた。 この「政策起因の供給制約」を調達リスクマップに組み込んでいない企業は、下期の銅調達計画を早急に見直す必要がある。

第2のポイントは、COMEX−LMEの価格分断という「市場構造の変化」が、日本企業のLMEベースの調達コストを恒常的に押し上げる仕組みとして定着しつつあるという点だ。

6月30日期限の関税審査が終われば一時的に解消するかもしれないが、2027年・2028年の段階的関税を見越した長期的な市場構造変化として、日本の調達担当者はLMEとCOMEXの乖離を常時モニタリングする体制を持つべきだ。

第3のポイントは、AI・データセンター・EV・再エネという「構造需要の四重奏」が、銅の中長期価格を支えるファンダメンタルとして非常に強固であるという確認だ。

一時的な停戦や景気悪化で銅が10〜12%調整することはあっても、2030年代にかけての電化・デジタル化トレンドが続く限り、銅建値2,000円/kg超という「新常態」からの大幅な乖離は見込みにくい。 製品設計・代替材料開発・価格転嫁体制の三層の対応を今から進めた企業が、2028年以降の競争力を手にする。

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