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【2026年5月第2週】原料炭(コークス用)週次レポート — PLVが2月の244ドル/tピークから調整局面、アングロ豪州資産売却プロセスとBMA天候リスクが高炉調達コストを左右

THE SUPPLIER · 素材カスケード分析

原料炭(コークス用)— PLV Q1ピーク244ドルから調整中、アングロ豪州資産売却×BMA天候リスクがQ3調達を左右

2026年5月第2週(5月4日〜8日)
第1層: 上流ショック(実データ)
PLV FOB豪州(Q1ピーク)
244.50
USD/t(2/10 前年比+27.34%)
5月第2週は200〜220ドル台に調整 UBS年平均235ドル予想
Q2 2026 四半期調達(推計)
225〜240
USD/t(Q1スポット平均基準)
前年Q2(140〜160ドル)比 大幅上昇 高炉コスト上昇の主因
アングロ豪州資産売却
4炭鉱
年産1,130万t計画 三菱商事が入札参加
落札者で日本の長期調達構造が変化する可能性
日本の原料炭輸入(2023)
4,523万t
(豪州72% カナダ・米国が続く)
鉄鋼生産減少に伴い減少傾向継続
伝播経路 — 5層カスケード
第1層
原料
PLV(プレミアム低揮発分炭)
S&Pグローバル日次評価 200〜220ドル台 UBS年平均235ドル予想 構造的高コスト環境
BMA(BHPミツビシアライアンス)
ゴニャラ・リバーサイド・サラジ等 2026年上半期に天候リスク(多雨)で生産ダウンサイド
アングロ・アメリカン豪州資産
モランバー・ノース等4炭鉱 三菱商事・スタンモア・PTブマが入札中 落札者未定
第2層
中間材
コークス(高炉用)
原料炭の4分の3がコークスに 日本コークス工業・各製鉄所内コークス炉が製造
COG・タール・ベンゼン(副産物)
コークス製造の4分の1が化成品 非鉄精錬・化学産業に波及
第3層
中間製品
銑鉄・粗鋼(高炉ルート)
コークス+鉄鉱石→銑鉄→転炉→粗鋼 コスト上昇が4月鋼材値上げの主要根拠
Q2四半期調達コスト
Q1スポット225〜240ドルを基準に日鉄・JFEが交渉 前年比大幅上昇
第4層
最終製品
薄板・ハイテン(自動車向け)
高炉品の主力 Q2コスト増がQ2〜Q3のひも付き価格に転嫁 名古屋次世代ライン8月稼働
厚板・形鋼(建設・造船)
建設費デフレーター上昇 造船コスト増 GCC復興需要回復で需要増期待
第5層
生活・マクロ
住宅・自動車価格・CPI
建設費・新車価格への転嫁が3〜6か月タイムラグでCPI耐久消費財・住居費に波及
GX移行コスト
HyDirect水素製鉄への投資と原料炭コスト高が同時進行する「二重の財務負担」
業界別アラート
日本製鉄・JFEスチール・神戸製鋼所(高炉)
Q2四半期調達が前年比大幅高で確定。Q3交渉(7月適用)の準備を6月から開始する必要
Q3交渉急務
6月〜
要警戒
三菱商事(アングロ資産入札)
落札成功なら豪州原料炭権益が拡大し日鉄・JFEとの長期供給関係が強化される戦略的M&A
入札進行中
随時
注意
BHP・BMAクイーンズランド操業
多雨の天候リスクで2026年上半期の生産にダウンサイドリスク。供給確認が重要
生産リスク
上半期
注意
日本コークス工業・製鉄所内コークス炉
原料炭コスト急騰でコークス製造コスト増 副産物(COG・タール)の収益で一部相殺可能
コスト増
継続中
モニタリング
日本製鉄(HyDirect水素製鉄実証)
原料炭からの脱却に向けた水素製鉄投資と現行コスト高が同時進行。2030年目標への財務計画が鍵
GX移行中
中長期
モニタリング

結論サマリー

製鉄用コークスの主原料である原料炭(コークス用炭)の国際指標PLV(プレミアム低揮発分炭・FOB豪州)は、2月10日に244.50ドル/tと前年同期比+27.34%の高値を記録した後、Q1後半から調整局面に入り、5月第2週は200〜220ドル/tのレンジで推移している。

UBSは2026年の豪州原料炭(PLV)の年間平均価格予想を235ドル/tと、従来比17%上方修正しており、Q1のピーク水準が単なる投機的急騰ではなく、供給制約に根ざしたものであることを示している。

今週の原料炭市場を読み解くうえで最重要の供給側イベントは二つある。

第一は、アングロ・アメリカンの豪州クイーンズランド州ボーウェン盆地にある四炭鉱(年産計1,130万トン目標)の売却プロセスで、スタンモア・リソーシーズ・三菱商事・PTブマ・インターナショナルが入札に名乗りを上げていること。

第二は、BHPのBMA(BHPミツビシアライアンス)クイーンズランド操業が天候リスク(多雨)にさらされており、2026年上半期の生産量にダウンサイドリスクがあることだ。

日本製鉄・JFEスチール・神戸製鋼所は豪州産原料炭と四半期ごとに調達価格を交渉しており、Q1 2026の高いスポット平均を踏まえたQ2調達価格が現在の高炉コストを押し上げる主要因となっている。

GX(グリーントランスフォーメーション)の文脈では、原料炭の「不可欠性」が問われ始めており、日本製鉄が水素還元製鉄(HyDirect)に向けた実証投資を進める中で、原料炭の長期需要は10〜20年スパンで縮小方向にある。

今週の動き

原料炭は今週、米イランの停戦交渉という直接的な地政学要因よりも、豪州の供給構造変化(アングロ資産売却の行方)と中国・インドの需要動向という独自の市場ロジックで価格が形成された。

2月10日の244.50ドルピーク後、スポット価格は3月にかけて徐々に調整し、5月第2週は200〜220ドル/t前後で推移している

Q2 2026の四半期調達価格は、Q1 2026のスポット平均(おおよそ225〜240ドル)を基礎として日本の高炉各社が豪州メジャーと交渉した結果が適用されており、Q1比での上昇分が鋼材コストに転嫁されつつある。

中東停戦交渉の行方は、原料炭への直接影響は限定的だが、「中東向け中国鋼材輸出の回復→中国の高炉稼働増→原料炭需要増」という間接経路でプラスのセンチメントを与えている。

直近5日間の値動き

原料炭のスポット価格は日次で公表されないが、S&PグローバルのPLV日次評価とDCE(大連商品取引所)の原料炭先物を参照することで傾向を把握できる。

5月4日(月)から8日(金)の週は、中東停戦交渉の楽観・悲観のサイクルの中で、原料炭先物(DCE)は一般炭先物(DCE)と同様に小幅な値動きにとどまった。

中国のQ1 2026 GDP成長率が前年比5%と予想を上回ったとの報道が鉄鋼生産期待を後押しし、週半ばにかけて買いが入る場面があった。

金曜に向けては停戦交渉の不確実性が続く中で、原料炭は週間では概ね横ばい圏にとどまった。

今週の主要因

第一の要因は、アングロ・アメリカンの豪州資産売却プロセスの継続だ。

アングロ・アメリカンはクイーンズランド州のボーウェン盆地に四炭鉱を保有しており、その中にはモランバー・ノースなどプレミアム硬原料炭(Premium Hard Coking Coal)の優良資産が含まれる

三菱商事が入札に参加していることは日本の鉄鋼業界にとって重要な意味を持ち、日本製鉄・JFEとの長期供給契約が維持されるかどうかが注目されている

第二の要因は、BHPのBMA(BHPミツビシアライアンス)の生産に対する天候リスクだ。

UBSの分析によれば、2026年上半期のBHPのBMA石炭量に対しては、多雨の天候による特定のダウンサイドリスクが存在する

BMAはゴニャラ・リバーサイド・マイン・サラジなどの主力鉱山を持ち、日本の高炉向け供給の重要な柱となっている。

第三の要因は、インドの旺盛な原料炭需要だ。

主要国で唯一鉄鋼生産量が増加しているインドの需要が、原料炭スポット市況に大きく影響している

インドの粗鋼生産は一貫して大きな伸びを見せており、高炉による銑鉄生産増に伴って豪州産原料炭の輸入量が増加している。

5層カスケード分析

原料炭(コークス用)は高炉製鉄の「二大原料の一つ」として、鉄鉱石とともに鉄鋼コストを決定する最上流素材であり、その価格は鋼材を通じて製造業全体に伝播する。

第1層と第2層: 原料と中間材

原料炭のうちコークス用に使われる強粘結炭(ハードコーキングコール)と低揮発炭(ロー・ボラタイル)は、品質によって大きく価格が異なる。

最高品質の「プレミアム・ロー・ボラタイル(PLV)」はコークス強度(CSR)71%以上・揮発分21.5%・灰分9.3%が標準仕様で、S&Pグローバル・プラッツが日次評価を行う世界の基準指標だ

日本の調達構造は豪州への集中度が高い。

日本の原料炭輸入量は2023年に4,523万トンで、豪州産が72%(約3,256万トン)、カナダ・米国が続く

豪州原料炭は2019年の61%から2023年に72%へとシェアが上昇しており、豪州依存が高まっている。

この依存構造の中でアングロ・アメリカンの豪州資産売却プロセスは、長期供給契約の相手先が変わるという供給構造変化として日本の高炉各社に直接影響する。

原料炭の4分の3がコークスとなり、残りの4分の1はCOG(コークス炉ガス)・タール・軽油などの化成品として回収される

COGは鉄鋼所内の燃料として使われ、タール・軽油は化学品原料として販売されており、原料炭は「鉄の原料」であると同時に「化学品の起源」でもある。

Q2 2026の四半期調達価格(日本製鉄・JFEが豪州メジャーと交渉した適用価格)は、Q1 2026のPLVスポット平均(概ね225〜240ドル/t)を基礎として決定されており、前年同期(Q2 2025の140〜160ドル/t水準)比で大幅な上昇となっている。

第3層: 中間製品

コークスは高炉の中で鉄鉱石を炭素で還元して鉄分を取り出す還元剤と、高炉内で溶けた鉄の通路を確保する骨格材の二つの役割を担い、高品質な高炉用コークスは硬さと強さを持ち、灰分・水分・イオウ分が少ない強粘結炭を使う

日本コークス工業(旧三菱化学)・住友金属(日本製鉄グループ)などがコークス製造を担い、鉄鋼各社の製鉄所内コークス炉でも自家製造される。

原料炭価格のQ2大幅上昇は、高炉のコークス製造コスト増→銑鉄製造コスト増→粗鋼→鋼材コスト増という連鎖の最上流を構成しており、4月に実施された日本製鉄・JFEの鋼材値上げの主要根拠の一つとなっている。

第4層: 最終製品への波及

自動車業界(薄板・ハイテン)

日本製鉄・JFEスチールの高炉品で製造された熱延鋼板・冷延鋼板・ハイテンは、原料炭コストの上昇を四半期ごとのミル価格改定に転嫁する。 トヨタ・ホンダ・日産などが調達する自動車用薄板のひも付き価格は、原料炭の四半期調達価格が直接影響するため、Q2の高コストが車両製造費に反映されるのはQ2〜Q3のラグを経てからだ。

建設業界(厚板・H形鋼)

建物骨格・橋梁・船体に使われる厚板や形鋼も高炉品が中心であり、原料炭コストが転嫁された製品価格の上昇が工事費積算に影響している。 建設費デフレーターへの影響は鉄鉱石・原料炭の両コストが積み重なる形で現れており、単一原料の影響を切り出して把握することが難しいため、コスト管理の精度向上が求められる。

重工業・造船

造船向け厚板・特殊鋼は高炉品の代表的用途で、中東紛争後のGCC産油国インフラ復興に伴う鋼材需要回復が実現した場合、日本の造船・重工向け特殊鋼需要も回復する見込みだ。 造船の建造コストに占める鋼材費の比率は船型によって20〜30%程度で、原料炭→鋼材→造船コストの連鎖が船価形成に影響する。

非鉄精錬・化学産業(コークス副産物)

コークス製造の際に発生するCOG(コークス炉ガス)はタール・ベンゼン・ナフタレン等の化学品の起源となり、非鉄精錬(亜鉛・銅)の還元剤としても使われる。 原料炭価格の上昇はこれら化成品の原料コスト増として、化学・非鉄金属産業にも間接的に波及する。

第5層: 生活・マクロへの波及

原料炭コストの上昇は鋼材→建設費→住宅価格・インフラコストという経路で最終的に家計に届く。

自動車鋼板コストの上昇は新車価格の上昇圧力となり、EVシフトの過程で電動化コストとの複合的な影響が消費者負担に現れる。

GX政策の文脈では、原料炭からの段階的離脱という「過渡期の逆説」が生じている。

鉄鋼生産が高炉から水素直接還元製鉄(DRI)への移行を進める2035〜2050年スパンでは、原料炭の需要は縮小するが、その前段階として設備投資と移行コストが鋼材価格を押し上げる

日本製鉄が名古屋製鉄所で進める水素製鉄の実証設備(HyDirect)への投資は、最終的には原料炭を代替する技術開発への投資であり、現時点では原料炭の高コスト環境が続く中での追加コストとして収益に圧力をかける。

今後の展望

アングロの豪州資産売却の決着とBMAの上半期生産実績確認が、PLVの6月以降の方向性を決める最大の変数だ。

来週の注目ポイント

アングロ・アメリカンのオーストラリア原料炭資産売却プロセスに関する続報が出た場合、落札者の顔ぶれと価格によって長期供給構造の変化が具体化する。

三菱商事が落札した場合は日本の高炉各社との長期供給関係の継続が期待できるが、スタンモアやPTブマが落札した場合は新たな調達先交渉が必要になる可能性がある。

UBSの2026年通年予想は235ドル/tと高水準を維持しており、Q3の価格交渉(7〜9月期)に向けた準備を6月から始める必要がある。

1ヶ月先の見通し

6月のPLV FOB豪州は、BMAの操業状況とインドの需要継続次第で195〜225ドル/tのレンジが中心シナリオだ。

アングロ・アメリカン売却資産の四鉱山の合算年産1,130万トン目標という数字は、供給の一角が変わることへの市場の神経を過敏にさせており、取引完了まで不確実性プレミアムが価格に乗る。

中国の鋼材輸出ライセンス制度(2026年1月開始)が高炉稼働の抑制に働いた場合、中国の原料炭需要が前年比で減少して下押し圧力となる可能性もある。

3ヶ月先の構造的展望

8月末に向けた中期では、原料炭(コークス用)市場は「需要の緩やかな縮小」と「供給の構造的不安定」という相反する力の中にある。

新規鉱山プロジェクトのパイプラインが薄く、既存鉱山のコスト上昇と品位低下が続く中で、PLVが2021年のピーク(445ドル/t)を下回りながらも220〜250ドルのフロアを維持するという「構造的高コスト環境」が中長期のシナリオとして定着しつつある

日本の高炉メーカーにとって、この構造的高コスト環境を前提に次世代の水素製鉄設備への移行コストと、現行の原料炭コストを同時に経営計画に反映させることが今後10年の収益管理の核心課題となる。

リスクシナリオ

上方リスクはアングロの落札者によるサプライヤー交渉姿勢の変化だ。落札者がスポット市場重視に転じた場合や、BMAが天候被害で大幅な生産減を余儀なくされた場合は、PLVが再び240〜250ドル超の水準を試す展開がある。

下方リスクは中国の高炉稼働の急減だ。鋼材輸出ライセンスが厳格化されて中国の生産が大幅に減少した場合、原料炭需要の減少でスポットが180ドル以下に落ちる可能性がある。

独自リスクは豪州の炭鉱インフラ(鉄道・港湾)の混雑とストライキだ。2021〜2022年にも豪州の炭鉱関連インフラの問題が価格急騰を引き起こした経緯があり、2026年もQLD州の港湾・鉄道のボトルネックが供給を阻害するリスクとして常に内在している。

業界別の対応指針

調達担当者

日本製鉄・JFEスチール・神戸製鋼所の調達担当者は、S&PグローバルのPLV日次評価を週次で確認し、Q3 2026の四半期価格交渉(7月適用分)の準備を6月から開始することが必要だ。

アングロ・アメリカンの豪州資産売却の結果次第では、既存の長期供給契約の相手先が変わる可能性があるため、代替供給先(カナダ・米国産)との並行交渉の体制を整えておくことが実務上のリスクヘッジとなる。

品種によって価格が大きく異なるため(プレミアム硬原料炭・セミソフト炭・PCI炭でそれぞれ別指標)、各品種のスポット動向とブレンド比率の最適化を定期的に見直すことがコスト管理の精度を高める。

経営者

原料炭のコスト上昇が4月の鋼材大幅値上げの主要根拠の一つであることを、顧客・サプライヤー双方への説明資料に明示することが価格転嫁の透明性確保につながる。

中期視点では、GX政策が求める「2050年カーボンニュートラル」に向けて、原料炭依存の高炉ルートから水素・電炉ルートへの移行計画を2030年目標として策定し、設備投資計画に組み込むことが経営課題として急浮上している。

原料炭の長期需要縮小を見越した「今のうちに長期調達コストを固定する」か「フレキシブルな短期契約で適応する」かという二者択一の戦略決定を今期中に経営会議で確認しておくことが、10年後の競争力に直結する。

投資家

三菱商事がアングロ資産落札に成功した場合、豪州原料炭権益の拡大によって商社としての収益基盤が強化され、日本製鉄・JFEへの安定供給という戦略的ポジションが高まる。

BHP・リオ・ティントの豪州炭権益事業は、原料炭高価格環境での収益性改善が見込まれる一方、GX移行期のロングターム需要縮小リスクを評価に織り込む必要がある。

コア・ナチュラル・リソーシーズ(米国)はUBSが原料炭銘柄で唯一バイを維持する銘柄であり、米国産炭の競争力という観点から注目に値する。

よくある質問

Q1: 原料炭(コークス用)と一般炭は何が違うのですか?

一般炭は主に発電・セメント製造の燃料として使われる石炭で、品質への要求が比較的低く扱います。原料炭(コークス用炭)は粘結性という特殊な性質を持ち、コークス炉で加熱するとコークスに変化する高品質な石炭です。高炉での製鉄に不可欠で、強粘結炭(ハードコーキングコール)と低揮発炭(ロー・ボラタイル)がプレミアム品として取引されます。

Q2: PLVとは何ですか?

PLV(Premium Low-Volatile)はプレミアム低揮発分炭の略で、原料炭の中でも最も高品質な品種です。S&Pグローバル・プラッツが日次評価する世界の基準指標で、揮発分21.5%・コークス強度71%以上が規格の基準です。豪州のボーウェン盆地産が主要な供給源で、日本の高炉各社との四半期契約の基準価格として使われます。

Q3: 日本はどこから原料炭を輸入しているのですか?

日本は原料炭の約72%を豪州から輸入しており、カナダ・米国が続きます。豪州のクイーンズランド州ボーウェン盆地が最大の産地で、BHPミツビシアライアンス(BMA)・グレンコア・アングロ・アメリカンが主要サプライヤーです。日本の年間輸入量は鉄鋼生産の減少に伴い減少傾向にあり、2023年は4,523万トンでした。

Q4: アングロ・アメリカンの豪州資産売却が日本にどう影響しますか?

アングロは日本の高炉各社との長期供給契約を持つ重要なサプライヤーです。三菱商事が落札した場合は供給関係の継続が期待できますが、新しいオーナーによっては契約条件の見直しや供給量の変化が生じる可能性があります。売却先の確定後に日本製鉄・JFEが代替供給契約の交渉に入ることも選択肢の一つです。

Q5: 来週の原料炭市場で注目すべき点は何ですか?

アングロ・アメリカンの豪州炭鉱資産の売却プロセスに関する続報が最大の注目です。三菱商事・スタンモア・PTブマの入札状況が明らかになれば、長期供給構造の変化として市場に大きな影響を与えます。また中国の5月粗鋼生産データ(6月中旬発表予定)が原料炭需要の強さを確認する材料となります。

まとめ

今週の原料炭(コークス用)市場は三つの構造的論点を提示した。

第1のポイントは、PLVがQ1の244ドルピークから調整中でも、UBSが年平均235ドルと予測する水準は「構造的高コスト環境」であり、2025年の130〜160ドル水準には戻らないという認識だ。

4月の日本製鉄・JFEの鋼材大幅値上げ(棒鋼1〜2万円)の根拠は鉄スクラップだけでなく、原料炭のQ2高コスト化も重要な一因であることを調達担当者は把握する必要がある。 Q3 2026の四半期交渉に向けた準備は6月から始めることが実務上の最優先事項だ。

第2のポイントは、アングロ・アメリカンの豪州資産売却という「供給構造の地殻変動」が進行中であり、三菱商事の動向が日本の高炉調達に直結しているという点だ。

このM&Aの帰趨は単なる企業再編ではなく、日本の鉄鋼産業の原料調達の安定性という国家的な観点からも注目すべき案件だ。 落札者と価格の確定が明らかになった時点で、日本の高炉各社は速やかに長期調達戦略の見直しに着手する必要がある。

第3のポイントは、原料炭が「GXの過渡期コスト」として高コスト環境を維持する中で、水素製鉄への移行投資という追加コストが同時に発生するという「二重の財務負担」が鉄鋼業界に圧力をかけているという点だ。

日本製鉄のHyDirect水素製鉄実証と名古屋次世代熱延ラインは、この移行コストを先行投資として受け入れる経営判断の具体化であり、原料炭から離脱するロードマップを持った企業とそうでない企業の差は、2030年代に競争力格差として顕在化する。

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