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【2026年5月第2週】アルミ(LME)週次レポート — NSP 560円・Q3は600円超へ、EGA復旧1年確定と中国増産限界の「二重の天井」が調達常識を覆す

THE SUPPLIER · 素材カスケード分析

アルミ(LME)— NSP 560円・Q3は600円超へ、EGA1年復旧確定と中国増産限界の「二重の天井」

2026年5月第2週(5月4日〜8日)
第1層: 上流ショック(実データ)
LMEアルミ(4年半ぶり高値)
3,678
USD/t(4/16現物決済 週次は3,500〜3,580台)
2022年3月以来の4年半ぶり高値
NSP(4〜6月期)
560
円/kg(前期比 +60円 近年最大の改定幅)
7〜9月期は600円超が確実視
中東3拠点の減産規模
約240万
t/年(名目390万t能力のうち)
世界供給の約9〜10%が消失 EGA復旧最低1年
LME+COMEX在庫
約42万
t台(記録的低水準)
緩衝在庫としての機能がほぼ消失
伝播経路 — 5層カスケード
第1層
原料
EGA・ALBA・Qatalum(中東3拠点停止)
3/28攻撃でEGA・ALBA被災 EGA復旧最低1年 Qatalumは60%稼働 計240万t減産確定
中国生産上限(4,500万t)
世界供給60%の中国が増産限界に到達 価格上昇しても法的に増産不可の「新常態」
ギニア産ボーキサイト(規制強化)
世界供給4割超のギニアが軍政による輸出抑制 EGA子会社の鉱業権剥奪済み
第2層
中間材
LMEアルミ地金
3,500〜3,670ドル/t 高値圏 在庫42万t台の記録的低水準
NSP(国内標準価格)
Q2: 560円/kg(前期比+60円 近年最大) Q3: 600円超が確実視 6/2確定
輸送ルート迂回
EGAがオマーン・ソハール港経由に変更 輸送日数14〜21日→49日規模に延長
第3層
中間製品
展伸材(板・箔・押出材)
UACJ・昭和電工マテリアルズが転嫁交渉中 NSP560→600円で再改定圧力
アルミ合金鋳造品
自動車ダイキャスト向け 2次地金・スクラップの戦略的重要性が上昇
第4層
最終製品
自動車(車体・EV)
1台150〜250kg使用 トヨタ・ホンダ・日産のコスト急増 Bloomberg「自動車もピンチ」
飲料缶・食品包装
缶材料費の70%超がアルミ 東洋製罐・大和製罐が値上げ交渉中
建材・航空機・再エネ
YKK AP・LIXILが複数回改定実施済み 航空機部品KHI・SHI・SUBARUも影響
第5層
生活・マクロ
家計・物価
飲料・食品包装・住宅・家電・新車価格が夏以降に本格上昇 CPI非エネルギー工業品を押し上げ
金融政策・インフレ
日銀の「基調的なインフレ」判断に影響 秋以降の金融政策への間接的波及に注意
業界別アラート
EGA(UAE)・ALBA(バーレーン)・Qatalum(カタール)
3/28攻撃でEGA・ALBA被災 EGA復旧最低1年確定 240万t/年の減産が2026年いっぱい継続
停止・減産継続
〜2027年Q1
最高警戒
日本の自動車メーカー(トヨタ・ホンダ・日産等)
中東材喪失で豪州・カナダ産に切り替え中。輸送コスト増と納期延長を採算に反映必要
調達危機
Q2〜Q4
要警戒
UACJ・昭和電工マテリアルズ(アルミ加工)
NSP560→600円超の追加転嫁交渉が急務。地金調達コストと製品価格のラグ管理が収益に直結
転嫁交渉中
Q2〜Q3
注意
YKK AP・LIXIL・三協立山(建材)
複数回の改定実施済みだが7月の追加改定(560→600円超対応)の準備が急務
追加改定準備
7月〜
注意
東洋製罐・大和製罐(飲料缶)
缶材料費の70%超がアルミ。食品・飲料メーカーとの価格転嫁交渉が本格化中
値上げ交渉中
Q2〜Q3
モニタリング

結論サマリー

LMEアルミ先物は5月第2週に3,500〜3,580ドル/tのレンジで推移し、4月16日に記録した4年半ぶりの高値3,670ドル/t(現物決済価格3,678.50ドル)から小幅に調整した水準が続いている。

国内のアルミ地金標準価格(NSP)は2026年4〜6月期に560円/kgに決定され、前期比60円増という近年最大の改定幅を記録した

7〜9月期のNSPは算出基礎となる3月の日経平均地金の急騰を受け、600円/kg超となる公算が大きく、製造業のコスト計画にとって最も早急な対処を要するリスクとして浮上している。

今週の相場を理解するうえで最重要なのは「二重の天井」という構造だ。

世界生産の約60%を占める中国が年間4,500万トンの生産上限に物理的に到達しており、価格が上がっても増産できないという前提に加え、UAE・エミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)のアル・タウィーラ製錬所が3月28日の攻撃で深刻な損傷を受け、完全復旧に最低1年かかると公式表明した

この二重構造は、停戦が成立しても「価格がすぐ下がる」という過去のパターンを封じており、調達担当者の戦略の前提を根底から変えている。

今週の動き

アルミ市場の今週は、米イラン停戦交渉の楽観・悲観が交互に来る中で、「たとえ停戦しても中東のアルミ供給はすぐ戻らない」という市場の認識が急速に浸透しつつあることを示す週となった。

5月1日にかけてLMEアルミが3,580ドルに反発したのは、中東供給混乱の長期化観測とイランが地域のタンカー・バルク貨物に対する脅威を宣言したことが買い材料となったためだ

5月6日(水)の米イラン和平期待局面では他コモディティと同様に下押しが入り、3,480ドルの3週間安値圏まで一時軟化した。

しかし、EGAの「最低1年」発言が市場に広く認知された後は、「和平=即値下がり」の単純図式が成立しなくなっており、下値は切り上がっている。

直近5日間の値動き

4月30日(木)、LMEアルミが3,480ドルと約3週間ぶりの安値を付けた後、中東からの供給障害長期化観測で反発し3,580ドル台に戻した。

5月4日(月)、ブレント原油急騰と連動してリスクプレミアムが再び乗り、アルミは3,550ドル超を維持した。

5月6日(水)は米イラン和平合意への期待で3,480〜3,500ドル圏まで売られた。

5月7日(木)はイランが停戦提案を拒絶したとの報道を受けて3,530ドル台に戻り、「供給制約は長引く」との再評価が価格を下支えした。

5月8日(金)は3,520〜3,550ドル圏での小幅な推移が続き、週間では前週末比でほぼ横ばいか若干プラスの着地となった。

今週の主要因

第一の要因は、中東三大製錬所の損傷・停止が長期化していることだ。

EGAのアル・タウィーラ工場(年産160万トン級)は3月28日の攻撃で停電によりポットライン内の溶融アルミが固化し、完全復旧まで最大12か月かかると4月3日に発表した

バーレーンのアルバ(ALBA)は年産162万3,000トンのうち19%(約30万トン/年分)のリダクションラインを停止しており、カタールのQatalumはガス供給途絶で全停止後に現在は6割稼働にとどまっている。

この3拠点の名目能力は合計約390万トン、顕在化している減産は240万トン規模とされており、世界供給の約9〜10%が失われた状態が続いている。

第二の要因は、中国の増産限界だ。

中国は年間4,500万トンという政府が設定した電力・環境政策上の生産上限に到達しており、アルミ価格が上昇しても法的・物理的に増産できない状況にある

過去のアルミ相場では「価格急騰→中国増産→価格正常化」のサイクルが繰り返されてきたが、このパターンが今回は機能しないことが明確になっている。

第三の要因は、ギニア産ボーキサイトの供給制約だ。

世界のアルミはボーキサイトから精錬するが、そのアフリカのギニア産が世界供給の4割超を占める

ギニアの軍事政権は2025年8月にEGAの子会社の鉱業権を剥奪し、2026年4月からは輸出量の抑制策まで打ち出しており、原料段階からの供給制約が重なっている。

5層カスケード分析

アルミは自動車・航空機・飲料缶・建材・電線と幅広い用途を持つ「汎用素材の王様」であり、価格高騰の影響は製造業の全セクターに及ぶ。

第1層と第2層: 原料と中間材

日本のアルミ調達の構造は今回の危機で根底から揺らいでいる。

日本の大手アルミ需要家はEGAやAlba産の中東材を「品質・納入履歴・取引実績で信頼できる西側系供給源」として長年依存してきたが、3月28日の攻撃で主要2拠点が同時被災した

EGAは現在、アブダビから陸送でオマーンのソハール港まで運び、同港から船積みする迂回ルートに切り替えており、中東から日本までの輸送日数は通常の14〜21日から49日規模へと延びている。

戦争リスク保険料もホルムズ周辺で船価の3%水準に達しており、輸送コストの急騰が調達実コストをさらに押し上げている。

LMEアルミ・COMEX在庫の合計はすでに記録的低水準の42万トン台まで減少しており、緩衝在庫としての機能がほぼ失われている。

NSPは1次地金の国内標準価格で、前年同期(500円/kg前後)から560円/kgへの大幅上昇は、アルミ加工品メーカー全体に4〜6月期のコスト圧力として即時かかる。

7〜9月期は算出に使われる3月の日経平均地金が大幅高騰しているため、600円/kg超への追加改定がほぼ確実視されており、年内の累積コストアップは製造業の原料費計画に深刻な影響をもたらす。

第3層: 中間製品

アルミは展伸材(板・箔・押出材・鍛造材)に加工されて各産業に供給される。

アルミ板・圧延材の国内大手UACJ(旧住友軽金属工業・古河スカイ)や昭和電工マテリアルズは、地金価格上昇分の製品価格への転嫁交渉を進めているが、自動車・缶・建材の各分野で転嫁幅と時期をめぐる攻防が続いている。

アルミ箔はバッテリー(リチウムイオン電池の正極集電体)・包装・コンデンサと幅広い用途を持ち、EV普及による需要増加と価格高騰が同時進行している。

欧州ではモザンビークのMozal製錬所が2026年3月に操業停止し、ロシアのアルミ(UCルサール)もEU制裁で調達困難となっており、ロッテルダムの欧州向けプレミアムは日本向けの倍近い水準まで上昇している。

第4層: 最終製品への波及

自動車業界

乗用車1台あたりのアルミ使用量はボンネット・ドア・ホイールなどで150〜200kg、EVはモーターハウジング・バッテリーケースが加わり200〜250kgに達する。 トヨタ・ホンダ・日産のアルミ調達コストは560円→600円/kgに向かう上昇が、車両製造コストを直撃する。 Bloombergは「中東混乱によるアルミ不足が日本直撃、基幹産業の自動車もピンチに」と報じており、自動車各社が代替調達先の確保に追われている現状を伝えている。

飲料缶・包装業界

飲料缶のアルミ使用量は1本約15g・缶蓋用が別途で年間消費量が大きく、アルミコストは缶の材料費の70%超を占める。 東洋製罐・大和製罐などの缶メーカーは値上げ交渉を進めているが、食品・飲料メーカー側の価格転嫁受容には時間差がある。

航空機・宇宙

機体重量の約70%がアルミ合金で構成される航空機は、NSP上昇の影響を大きく受ける。 日本の航空機部品メーカー(KHI・SHI・SUBARU)はボーイング・エアバスへの部品供給における材料コスト上昇を交渉課題としている。

建材・住宅

アルミサッシ・カーテンウォール・外装パネルなどの建材は地金価格に直結する。 YKK AP・LIXIL・三協立山などのサッシ大手は過去1年間で複数回の価格改定を実施しており、560→600円の追加改定が7月以降に見込まれる。

電力インフラ・再エネ

送電線に使われるACCR(アルミ導体鋼心線)や電線の主要材料としてアルミが使われており、電力インフラの更新・拡充投資コストに上昇圧力がかかっている。 太陽光パネルのフレーム・架台にも大量のアルミ押出材が使われており、再エネ設備コストが上昇する構造矛盾が生じている。

第5層: 生活・マクロへの波及

NSP 560円→600円という段階的な上昇は、飲料缶・食品包装・日用品・住宅・家電の価格を通じて家計の支出を押し上げる。

自動車価格への影響は1〜2四半期のタイムラグを経て反映されるため、EV・新車の価格改定が夏以降に本格化する可能性がある。

住友商事グローバルリサーチは「アルミニウムは汎用素材であり、供給逼迫と価格高騰の影響は広域に及ぶ」と指摘し、中東紛争が早期終結しても設備修復と物流正常化に時間を要するとしており、価格の構造的高止まりが続く見通しを示している。

CPI非エネルギー工業品の価格上昇に製造業全般のコスト転嫁が重なれば、日銀の「基調的なインフレ」判断に影響を与え、秋以降の金融政策に間接的に作用するリスクも注視が必要だ。

今後の展望

EGAの復旧期限(最低2027年3月頃)とギニア・ボーキサイト制約が重なる構造的な供給不足環境は、最低でも2026年いっぱいは続く見込みだ。

来週の注目ポイント

最大の注目はイランの停戦回答だ。

和平成立でも「EGA復旧は1年かかる」という事実は変わらないため、アルミ価格の下落幅は他コモディティより小さく、200〜300ドル/tの押し目にとどまる可能性が高いと市場は見ている。

7〜9月期のNSPを決定する日経平均地金(3月の月平均)が算出に使われるため、6月第1月曜日の確定発表に向けた市場の準備が来週から本格化する。

ギニア軍事政権のボーキサイト輸出抑制策の具体的な実施量が明らかになれば、アルミナ価格を通じた上流コスト上昇が改めて材料となる可能性がある。

1ヶ月先の見通し

6月のLMEアルミは、停戦成立シナリオで3,200〜3,400ドル/t、長期膠着シナリオで3,400〜3,600ドル/tのレンジが想定される。

EGAの復旧完了(2027年春頃)までに世界のアルミ供給の数%が市場から失われ続けることは確定しており、「停戦→大幅下落」という単純な図式は成立しない。

非鉄金属ナビは2026年通年のLME平均を3,200ドル/tと試算しており、上半期の高値継続・下半期にインドネシアなどの新規供給で調整入りも、2,800ドル以下への下落は想定しにくいとしている。

3ヶ月先の構造的展望

8月末に向けた中期展望では、「二重の天井」が続く前提でシナリオを組む必要がある。

中国の生産上限4,500万トンは政策的な制約であり、短期間での緩和は見込みにくい。

EGAの復旧が仮に2026年内に前倒しされるポジティブサプライズがあったとしても、EGA社自身が「最低1年」と明言している以上、それを前提にした調達計画を組むのは現実的でない。

アルミスクラップ(2次地金)の戦略的重要性が高まっており、欧州はアルミスクラップの輸出規制準備を進めていると住友商事グローバルリサーチは指摘している。

日本の製造業においても、2次地金・スクラップの有効活用と、国内でのアルミリサイクル体制強化が中期的な調達コスト低減策として経営課題に浮上しつつある。

リスクシナリオ

上方リスクはギニアのボーキサイト輸出全面停止だ。軍事政権が輸出抑制をさらに強化した場合、アルミナ不足→精錬コスト急騰の連鎖で、中国のコストも上昇し4,000ドル/tを超える展開もある。

下方リスクは中国の生産上限緩和だ。中国政府が環境規制を緩和して4,500万トン超の生産を許可した場合、構造的な過剰供給への転換が起き、3,000ドル以下への下落が生じうる。

独自リスクは米国のアルミ関税拡大だ。トランプ政権は2025年にアルミ輸入関税を25%→50%に引き上げており、さらなる拡大が実施された場合、地域間の価格乖離が拡大して日本の調達環境にも影響が及ぶ。

業界別の対応指針

調達担当者

NSP 560円は4〜6月期の水準であり、7月以降は600円超が確実視されている。 7〜9月期向けの調達契約を6月末までに締結する際には、600〜620円/kgを想定コストとして価格交渉の基礎に置くことが現実的だ。 中東材の代替として豪州・カナダ・ノルウェー産への切り替えを進めている企業は、輸送コスト増と納期延長(日数が49日規模に拡大)を採算計算に反映させておく必要がある。 LME公式サイトでアルミ3か月物の日次データを確認しながら、NSP算出基礎となる月別日経平均地金の動向を週次でモニタリングする体制を整えることが急務だ。

経営者

560→600円という段階的NSP上昇が製品原価に与えるインパクトを品目別に試算し、第3四半期の事業計画を修正することが急務だ。 自動車・飲料缶・建材など下流向けの製品価格改定交渉には3〜6か月の準備期間が必要なため、今から交渉を開始しないと7月以降のNSP上昇分を吸収できなくなる。 2次地金・スクラップの活用拡大とリサイクル体制強化を中期戦略に組み込む判断を、今期中に経営会議で確認しておくことが競争力の分岐点となる。

投資家

UACJや昭和電工マテリアルズなどアルミ加工大手は、地金高→製品価格転嫁の局面でマージン圧迫リスクと転嫁成功後の利益率改善という二段階の価格変動が株価に影響する。 アルミ権益を持つ住友化学・三菱マテリアルや、アルミリサイクル事業を展開する東邦チタニウム等の動向も供給逼迫環境での恩恵銘柄として注目に値する。

よくある質問

Q1: NSPとは何ですか? 560円はどこから来ていますか?

NSP(ナショナル・スタンダード・プライス)は日本のアルミ地金の基準価格で、前3か月間の日経平均地金価格の平均を四捨五入したうえにエクストラ10円を加算して算出されます。 2026年4〜6月期の560円は、2025年12月〜2026年2月の平均553.9円を基礎としており、LME急騰と円安が同時進行した結果です。

Q2: EGAが1年かかると言っているのに、なぜ停戦で価格が下がるのですか?

下がりにくい、が正確な表現です。停戦観測で200〜300ドル/tの一時的な押し目は起こりうるものの、EGA復旧確定前は世界供給の数%が失われた状態が続くため、2,800ドル/t以下への大幅下落は想定しにくいというのが市場のコンセンサスです。

Q3: 中国はなぜ増産できないのですか?

中国政府が電力消費量削減・CO2排出規制の一環として年産4,500万トンという生産上限を設けており、現在この上限に物理的に到達しているためです。 価格が上がっても法律・政策上の制約から増産を承認しない方針が維持されているため、従来の「中国が増産して相場を冷やす」パターンが機能しなくなっています。

Q4: 7〜9月期のNSPはいつ確定しますか?

2026年6月の第1月曜日(6月2日)に確定・発表される予定です。 算出に用いられる3月の日経平均地金がLME急騰の影響で大幅上昇しているため、600円/kg超での確定が有力視されており、6月の発表を待たずに600〜620円レンジでの計画を組んでおくことが実務的に望ましいです。

Q5: 今後のアルミ調達で最も重要な注意点は何ですか?

代替供給源の輸送コストと納期延長を採算計算に反映させることです。EGAのオマーン迂回ルートは輸送日数が49日規模に拡大しており、豪州・カナダ産へのシフトも輸送距離が長くなります。LME価格だけでなく対日プレミアムも加算した総コストで評価する習慣が必要です。

まとめ

今週のアルミ市場は、日本の製造業の調達常識を覆す三つの変化を確認させた。

第1のポイントは、「停戦が来てもアルミ価格はすぐ戻らない」という認識の定着だ。

EGAの「最低1年」宣言は、和平合意という外交イベントをアルミ相場の転換点とみなす発想を市場から駆逐した。 調達計画を「停戦後の価格正常化」を前提に組んでいる企業は、今すぐその前提を見直す必要がある。

第2のポイントは、中国の増産限界という「構造変化」が今回初めて本格的に顕在化したという点だ。

過去20年間、アルミの価格急騰は中国の増産で抑制されてきた。その安全弁が機能しなくなった2026年は、アルミ市場の歴史的な転換点として記録される可能性がある。 NSPが600円を超えた先の「新常態」を想定した原材料戦略——代替素材・軽量化・リサイクル——を今から議論し始めた企業が、来年以降の競争力を手にする。

第3のポイントは、NSP改定サイクルと製品価格改定の「タイムラグ」が製造業の収益を圧迫するという点だ。

560円→600円超の移行は7月以降に確実に来る。 下流メーカーへの価格転嫁交渉を今から開始し、NSP確定の6月2日の前に合意のめどをつけることが、Q3の採算管理の要諦となる。

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