
銅、アルミ、樹脂、鋼材などの原材料相場が下がったというニュースを見て、
「材料が安くなったのだから、部品価格も下がるはずではないか」
と感じることがあります。
しかし製造業では、原材料価格が下落しても部品価格がすぐ下がるとは限りません。
理由は、部品価格が「今日の原材料相場」だけで決まっていないからです。
高値で購入した在庫、加工費、人件費、電力費、物流費、設備費、為替、契約条件などが残っていれば、原材料の一部が下がっても総コストは下がらない場合があります。
この記事では、原材料価格から部品価格までの間に何があるのかを分解し、調達側が「本当に値下げ余地があるのか」を判断する方法まで整理します。
原材料が下がっても部品価格はすぐには下がらない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
最初に押さえておきたいのは、
「原材料の市場価格」
と、
「部品メーカーの実際の製造原価」
は別物だということです。
例えば銅の国際価格が今月20%下落したとしても、部品メーカーが今月使用している銅が、今月買ったものとは限りません。
数か月前に高値で購入した材料を在庫として保有していれば、その材料を使って生産している間は原価も高いままです。
さらに部品を作るには、
材料
↓
加工
↓
組立
↓
検査
↓
梱包
↓
物流
が必要です。
材料だけが安くなっても、それ以外のコストが上昇していれば部品価格は下がりません。
日本銀行の製造業部門別投入・産出物価指数についての説明でも、実際の企業収益には減価償却費や人件費、金融費用などが影響するとされています。 日本銀行ホームページ
つまり、
原材料価格下落
=
製造原価下落
=
部品価格下落
ではありません。
この3段階を分けて考える必要があります。
2026年時点でも製造業の仕入価格圧力は残っている
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
一部の原材料価格が下落していても、製造業全体の仕入コストが下落しているとは限りません。
日本銀行の2026年9月短観を見ると、製造業の仕入価格DIは大企業で59、中小企業で71でした。
「上昇」と答える企業が「下落」と答える企業を依然として大きく上回っています。
一方、販売価格DIは大企業40、中小企業41です。 日本銀行ホームページ
この数字からも、
「ある材料の市場価格が下がった」
ことと、
「製造業の仕入価格全体が下がった」
ことは区別する必要があります。
特に加工部品では、材料より人件費や加工費の影響が大きい製品もあります。
部品価格を決める7つの価格層
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。

実務では、部品価格を次の7層に分けると理解しやすくなります。
| 層 | 確認するもの | 市況下落が反映される速さ |
|---|---|---|
| 1 | 原材料の市場価格 | 速い |
| 2 | 部品メーカーの実際の仕入価格 | 市場より遅い |
| 3 | 原材料・仕掛品在庫 | さらに遅い |
| 4 | 加工費・労務費 | 材料相場とは別に動く |
| 5 | 電力・物流・外注・間接費 | 材料とは別に動く |
| 6 | 契約・価格改定条件 | 契約次第 |
| 7 | 部品販売価格 | 最後に動く |
ここが今回の記事の重要なポイントです。
ニュースで見るのは多くの場合「1」です。
調達担当者が購入している部品価格は「7」です。
1から7までの途中に複数の工程があるため、同時には動きません。
理由1 高値で購入した在庫が残っている
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
最も分かりやすい理由が在庫です。
例えば部品メーカーが材料を3か月分購入しているとします。
4月に高値で購入した材料を、
4月
5月
6月
と使用する場合、5月に市場価格が急落しても4月に購入した在庫の原価は変わりません。
新しい安値材料が実際の製造ラインへ入ってくるのは、高値在庫を使い終わってからです。
したがって調達担当者が確認すべきなのは、
「現在の市況価格はいくらですか」
だけではありません。
「御社の実際の材料購入価格はいつから下がっていますか」
まで聞く必要があります。
理由2 材料価格と仕入価格には契約上の時間差がある
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
材料メーカーとの取引価格が毎日変わるとは限りません。
月次、四半期、半期などの周期で価格を改定する契約もあります。
また一定期間の市況平均を使う方式なら、スポット価格が急落しても契約価格の平均値はゆっくり下がります。
経済産業省・中小企業庁の素形材関連ガイドラインでも、国際的な価格指標がある原材料について、価格スライド制やサーチャージ制などを事前に協議する考え方が示されています。 中小企業庁
重要なのは、
「いつの市況」
を、
「何か月後の部品価格」
へ反映する契約なのかです。
理由3 原材料は部品原価の一部分にすぎない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
仮に原材料価格が20%下がっても、部品価格が20%下がるわけではありません。
部品価格が、
材料費
加工費
検査費
物流費
間接費
利益
などで構成されているためです。
例えば1,000円の部品のうち材料に対応する部分が300円だったとします。
材料価格が20%低下して、その低下分が完全に反映されたとしても、
300円 × 20% = 60円
です。
理論上の直接影響は60円です。
1,000円の部品が800円になるわけではありません。
しかも実際には在庫や契約のタイムラグがあるため、60円すべてがすぐに減少するとは限りません。
理由4 人件費は原材料と別方向に動く
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
ここ数年の価格改定では、原材料だけでなく労務費も重要な要素になっています。
2026年3月の中小企業庁調査では、価格転嫁率は原材料費55.7%に対し、労務費は50.0%でした。 経済産業省
つまり一部の企業では、過去に上昇した人件費をまだ十分に販売価格へ転嫁できていない可能性があります。
公正取引委員会も、原材料費やエネルギーコストだけではなく、労務費を含む価格協議の重要性を示しています。 公正取引委員会
例えば、
材料費 -30円
になっても、
労務費 +20円
外注加工費 +10円
なら、合計コストは下がりません。
材料相場だけを切り出して判断すると、ここを見落とします。
理由5 電力・物流・外注費が下がっていない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
部品製造には電力を使用します。
熱処理、成形、プレス、切削、めっき、乾燥、クリーンルーム、コンプレッサーなど、工程によってはエネルギーコストが大きくなります。
物流費も同様です。
原材料が安くなっても、
運賃
梱包材
倉庫費
外注加工費
が高いままなら総原価は下がりません。
2026年の企業の価格改定でも、原材料だけではなく、物流、エネルギー、労務費など複数のコストが理由として挙げられています。
例えば日立産機システムは2026年4月の価格改定で、銀、銅、鉄鋼、プラスチックなどに加え、物流費、エネルギーコスト、労務費、部品メーカーからの価格転嫁を理由として挙げています。 日立インフォメーションエレクトロニクス
これは部品価格が単一材料だけで決まらない具体例です。
理由6 設備投資や品質維持のコストもある
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
部品メーカーは材料を購入して加工するだけではありません。
設備の更新
金型・治具
検査装置
校正
設備保全
品質保証
システム
環境対応
などにも費用がかかります。
原材料価格が下がっても設備の減価償却費が下がるわけではありません。
むしろ人手不足対策のために自動化設備を導入すれば、短期的には設備負担が増える場合があります。
そのため、
「材料価格が下がったので、その分を全部値下げしてください」
という計算では実態と合わないケースがあります。
理由7 過去のコスト上昇をまだ全額転嫁できていない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
ここは見落とされやすいポイントです。
原材料価格が以前100から150まで上がったとします。
しかし部品メーカーが顧客との交渉で100から130までしか転嫁できなかった場合、20のコスト増を自社で負担していたことになります。
その後、原材料価格が150から140へ下がっても、
「10下がったから値下げできる」
とは限りません。
まだ過去の未転嫁分が残っているからです。
2026年3月時点でも価格転嫁率は54.2%にとどまっています。 経済産業省
原材料相場がピークアウトしただけで、過去数年間のコスト上昇がすべて解消されたと考えるのは早計です。
原材料相場から部品価格までは「時間差」で考える
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
部品価格は次の順番で動きます。
原材料の国際価格が動く
↓
材料メーカーの販売価格が変わる
↓
部品メーカーの購入価格が変わる
↓
旧在庫を消化する
↓
新しい材料コストで生産する
↓
実際の製造原価を確認する
↓
顧客と価格協議する
↓
新単価の適用日を迎える
このため、原材料相場が下落した日と部品価格が下落する日は一致しません。
逆方向も同じです。
原材料が上昇しても部品価格が即日上がらないことがあります。
日本ペイントホールディングスの2026年第1四半期決算Q&Aでも、BtoBの価格については交渉の側面が強いことが説明されています。 日本ペイントホールディングス
部品価格は「株価のように毎日変わる価格」ではなく、「取引条件として協議される価格」である場合が多いのです。
材料が20%下がっても部品価格が下がらないケース
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
ここで説明用の単純な例を考えます。
従来1,000円で販売している部品があり、原価構造を次のように仮定します。
| 費目 | 従来 |
|---|---|
| 材料費 | 400円 |
| 加工・労務費 | 220円 |
| 電力 | 60円 |
| 物流費 | 50円 |
| 設備・品質・間接費 | 120円 |
| 合計原価 | 850円 |
| 粗利等 | 150円 |
| 販売価格 | 1,000円 |
原材料の市場価格が20%下がったとします。
しかし高値在庫が残っているため、メーカーの実際の材料費が当面8%しか低下しないと仮定します。
材料費は、
400円
↓
368円
となり、32円減ります。
ところが同時に、
加工・労務費 +22円
電力費 +8円
物流費 +5円
設備・品質・間接費 +7円
増えたとします。
すると新しい原価は、
368+242+68+55+127
=860円
です。
従来原価850円より10円高くなっています。
市場では材料が20%下がっているのに、部品メーカーの総原価はむしろ増えています。
これはあくまで説明用の仮定ですが、
「材料価格だけを見ると値下げできそうなのに、部品価格では下げられない」
仕組みを理解しやすい例です。
値下がりしやすい部品には条件がある
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
すべての部品が同じ動きをするわけではありません。
一般に次の条件がそろうほど、原材料市況を価格へ反映しやすくなります。
| 値下がりしやすい条件 | 値下がりしにくい条件 |
|---|---|
| 材料費比率が高い | 加工費比率が高い |
| 市況連動契約 | 固定価格契約 |
| サーチャージ制 | 個別見積 |
| 在庫期間が短い | 在庫期間が長い |
| 汎用品 | カスタム品 |
| 加工工程が少ない | 多工程・高精度加工 |
| 購入数量が安定 | 少量多品種 |
| 市場競争が強い | 認定・切替が難しい |
したがって調達担当者は、
「材料が下がったから値下げしてください」
ではなく、
「この部品はどの条件に該当するか」
を見る方が実務的です。
調達担当者が仕入先へ確認したい8項目
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
原材料市況が下落したときは、次の8項目を確認すると価格の妥当性を判断しやすくなります。
1 どの材料を使っているのか
銅、アルミ、樹脂、鋼材など、対象材料を確認します。
2 市況価格と実際の購入価格は連動しているか
市場価格が下落しても、メーカーの購入価格がまだ下がっていない場合があります。
3 価格指標は何か
LME、国内建値、ナフサ、鋼材価格など、何を基準にしているのか確認します。
4 何か月平均を使っているか
当月価格、3か月平均、四半期平均では反映速度が違います。
5 在庫は何か月分あるか
高値在庫が残っている期間を確認できます。
ただし、必要以上に企業秘密となる詳細情報を求めるのではなく、価格協議に必要な範囲で確認することが重要です。
6 材料以外のコストはどう動いているか
加工費、人件費、電力、物流、外注費を確認します。
7 現在の単価はいつ決めたのか
長期間据え置かれている単価なのか、直近で改定済みなのかで判断が変わります。
8 次回の価格見直し日はいつか
材料価格が一定期間低下した場合に再協議する条件を決めておく方法もあります。
調達交渉で重要なのは、
「今すぐ下げてください」
という要求より、
「どの条件になれば価格を再計算できますか」
という確認です。
営業側は値下げ要求へどう説明すればよいか
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
受注側も、
「下げられません」
だけでは十分ではありません。
おすすめは、材料価格の低下とその他コストの変化を分けて説明する方法です。
例えば、
材料費 -32円
労務費 +22円
電力費 +8円
物流費 +5円
その他 +7円
総原価影響 +10円
と整理します。
これなら顧客も、
「材料は確かに下がったが、総原価は下がっていない」
ことを確認できます。
逆に総原価が下がっているなら、
値下げ
価格据え置き
次回改定時に反映
一定期間後に再協議
などを検討できます。
重要なのは「値下げする・しない」を先に決めるのではなく、原価差額から判断することです。
価格スライド制なら下落も反映しやすい
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
原材料価格の変動が大きい製品では、価格スライド制やサーチャージ制を使う方法があります。
例えば、
基準銅価格 A
現在銅価格 B
製品1個当たり銅使用量 C
として、
(B-A)×C
を価格へ反映する仕組みです。
この方法なら原材料価格が上昇すれば価格も上がり、下落すれば価格も下がります。
中小企業庁の素形材関連ガイドラインでも、原材料の国際指標が存在する場合には価格スライド制やサーチャージ制を事前に協議することが示されています。 中小企業庁
価格交渉を毎回ゼロから行う必要がなくなるメリットがあります。
一方、
労務費
電力費
物流費
まで同じ指数で動かすことはできません。
何を連動対象とするのかを事前に明確にする必要があります。
原材料が下がったから発注済み価格を減額してよいわけではない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
ここは調達側で特に注意が必要です。
原材料価格が下落したからといって、すでに合意した注文価格を後から一方的に減額する問題と、次回以降の単価を協議する問題は別です。
公正取引委員会の取適法Q&Aでは、労務費、原材料費、エネルギーコスト等が下落した場合でも、中小受託事業者のコスト減少を理由に、あらかじめ定めた代金を減じて支払うことは「減額」に該当すると説明しています。 JFTC
また、2026年1月から施行されている取適法では、対象となる取引について、協議に応じず一方的に価格を決定する行為への規制も強化されています。 公正取引委員会
したがって、
発注済み品の価格を後から下げる
ことと、
次回注文分から新しい価格を協議する
ことを混同しないことが重要です。
具体的な取引への法適用は契約内容や取引条件によって異なるため、判断が必要な場合は法務担当者や専門家へ確認してください。
部品価格が下がる可能性が高まる5つの条件
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
では、実際にどのような状況になれば値下げ余地が大きくなるのでしょうか。
次の5つが重要です。
1 実際の材料購入価格が下がった
市場価格ではなく、仕入先の購入単価まで低下している状態です。
2 高値在庫を消化した
低価格材料が実際の生産へ使われ始めます。
3 材料以外のコストが上昇していない
労務費、電力、物流、外注費も確認します。
4 契約上の価格見直し時期になった
四半期更新、半期更新、年次更新などです。
5 下落が一時的ではなく一定期間続いた
一日の急落より、一定期間の平均価格の方が取引価格へ反映しやすくなります。
つまり、調達側が注目すべきなのは、
「相場が下がったか」
だけではありません。
「実原価まで下がったか」
です。
今後追うべき指標
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
部品価格の値下がり余地を継続的に判断するなら、次を定期的に確認します。
| 指標 | 確認する理由 |
|---|---|
| 原材料市況 | 上流価格の方向 |
| 実際の仕入価格 | メーカーへの反映確認 |
| 為替 | 輸入材料への影響 |
| 在庫期間 | 価格反映までの時間 |
| 人件費 | 加工コスト |
| 電力・燃料 | 工場コスト |
| 物流費 | 調達・出荷コスト |
| 発注数量 | 固定費配賦 |
| 契約改定時期 | 単価変更可能時期 |
| 競合価格 | 市場価格の確認 |
特に、
原材料市況
+
仕入先の実購入価格
+
在庫
+
加工費
をセットで見ると、価格の動きをかなり理解しやすくなります。
よくある質問
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
原材料価格が20%下がったら部品価格も20%下げてもらえますか?
通常はそうなりません。
原材料が部品価格全体に占める比率と、実際の購入価格への反映幅を確認する必要があります。
原材料が下がってから何か月で部品価格に反映されますか?
一律には決まりません。
材料の契約周期、在庫期間、価格改定周期によって変わるため、「何か月遅れで反映する契約なのか」を確認する方が実務的です。
市況価格のグラフを見せれば値下げ交渉できますか?
交渉材料にはなりますが、それだけでは十分ではありません。
市況価格から仕入先の実購入価格へどの程度反映されているかまで確認する必要があります。
部品メーカーが在庫価格を教えてくれない場合はどうしますか?
企業秘密となる情報を無理に求める必要はありません。
価格指標、価格改定周期、在庫反映までのおおよその期間など、価格協議に必要な情報を確認する方法があります。
原材料が下がっているのに値上げを要求されることはありますか?
あり得ます。
労務費、電力、物流、外注加工費などが材料費の低下以上に上昇していれば、総原価が上昇する場合があります。
原材料価格が下がった場合、受注済み品も安くできますか?
合意済みの代金を一方的に減額する問題と、新しい注文価格を協議する問題は別です。
取適法の対象取引では、あらかじめ定めた代金の一方的な減額には特に注意が必要です。 JFTC
価格スライド制にすれば問題は解決しますか?
原材料部分については透明性を高めやすくなります。
ただし労務費、電力、物流費などは別の動きをするため、対象コストと算定式を事前に決める必要があります。
価格交渉は「材料価格」ではなく「総原価」で考える
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
原材料価格が下がったとき、
「なぜ部品を値下げしないのか」
と考えるのは自然です。
しかし確認すべきなのは市況価格だけではありません。
原材料価格
↓
実際の購入価格
↓
在庫
↓
加工費
↓
人件費・電力・物流
↓
契約条件
↓
部品価格
までつなげて考える必要があります。
特に覚えておきたいのは次の5点です。
- 原材料の市場価格とメーカーの購入価格は同時には動かない
- 高値在庫が残っていれば原価低下には時間がかかる
- 材料は部品原価の一部であり、加工費や人件費も重要
- 値下げ余地は材料単体ではなく総原価で判断する
- 価格見直しは契約条件と協議によって行う
調達側なら次に確認したいのは、
「原材料が何%下がったか」
ではありません。
「仕入先の総原価のうち、実際に何円下がったのか」
です。
そこまで確認できれば、値下げ交渉を感覚ではなく数字で進められます。
価格転嫁・価格改定の資料を作る場合
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
逆に受注側として、
「原材料は下がったが、人件費や電力費が上昇しているため値下げできない」
「どの費目が何円変化したのか顧客へ説明したい」
という場合は、材料費・電力費・物流費を分解した資料を作ると説明しやすくなります。
製造業サプライチェーン研究所では、
「製造業の価格転嫁資料を30分で作る方法|原材料・電力・物流費の計算+説明文テンプレート」
を含むExcel実務ツールを掲載しています。 note(ノート)
https://note.com/wish11_11/m/mfe1911d85a01
価格転嫁そのものの考え方を確認したい場合は、まず無料記事からでも確認できます。

コメント