
AIサーバーの高発熱化によって、TIM市場は単純な「熱伝導率の高い材料を選ぶ市場」から、「実装した状態でどこまで熱抵抗を下げ、長期間その性能を維持できるか」を競う市場へ変わりつつあります。
高性能GPUの消費電力は増加し、Direct-to-Chip液冷もAI・HPCで重要な冷却方式になっています。
しかし液冷になっても、半導体とコールドプレートの間にはTIMが残ります。
そのため今後は熱伝導率だけでなく、厚み、圧縮、反りへの追従性、絶縁性、pump-out、耐久性、量産性まで含めてTIMを選ぶ必要があります。
AIサーバー高発熱化でTIM市場は「高熱伝導率競争」だけではなくなる
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まず押さえておきたいのは、
「AIサーバーの発熱量が増える=W/mKが高いTIMだけが売れる」
という単純な構図ではないことです。
NVIDIAの公式仕様ではH100 SXMの最大TDPは700Wです。
一方、NVIDIAが示す世代比較ではBlackwellが最大1,200W、Blackwell Ultraが最大1,400Wとなっています。
異なる製品世代・システムのため単純な性能比較はできませんが、高性能GPU一基あたりの電力・熱設計条件が厳しくなっている方向は確認できます。
ラック単位で見ても同じです。
NVIDIAの現行資料では、GB200 NVL72は設計ラック電力120kW、GB300 NVL72は135kWとして扱われています。
これだけの電力を高密度なラックから取り出す場合、問題になるのはGPUそのものだけではありません。
GPUから冷却液へ熱が移るまでに存在する、
半導体パッケージ
TIM
コールドプレート
という一連の熱経路すべての熱抵抗を小さくする必要があります。
GPUの発熱増加でTIMの役割が重くなる理由
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H100最大700WからBlackwell Ultra最大1,400Wへ
半導体から発生した熱を冷却する場合、冷却装置だけを大型化すればよいわけではありません。
チップと冷却器の間に大きな熱抵抗が残っていれば、どれだけ高性能なコールドプレートを取り付けても熱を十分に渡せません。
ここにTIMが入ります。
TIMはThermal Interface Materialの略で、発熱体と冷却部品の表面に存在する微細な凹凸や空隙を埋め、熱を移動しやすくする材料です。
AMDのTIMガイドでも、材料選定要素として熱伝導率だけでなく、電気伝導性、広がり方、長期安定性、塗布性、TIMにかかる圧力が挙げられています。
つまりTIMとは、
「熱伝導率の高いシートを挟めば終わり」
という部品ではありません。
実際の組立状態まで含めて性能が決まる材料です。
液冷でもTIMはなくならない
AIサーバーが空冷からDirect-to-Chip液冷へ移れば、TIMが不要になるように思えるかもしれません。
実際には逆です。
NVIDIAのGB200/GB300系ラックでも液冷が重要な役割を担っており、ASHRAEもDirect-to-Chip液冷をAI・HPC向けの主要な冷却方式として整理しています。
Direct-to-Chipでは概念的に、
GPU・CPU
↓
TIM
↓
コールドプレート
↓
冷却液
という熱経路になります。
つまり液冷とは、
TIMをなくす技術
ではなく、
TIMの先にある冷却器を空冷ヒートシンクから液冷コールドプレートへ変える技術
と考えた方が分かりやすいでしょう。
高発熱化するほど、GPUからコールドプレートへ熱を渡す界面の性能がシステム全体を左右しやすくなります。
TIMはなぜ熱伝導率だけでは選べないのか
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TIMのカタログを見ると、最初に比較したくなるのが、
5W/mK
10W/mK
20W/mK
70W/mK
といった熱伝導率です。
しかし、実際の放熱性能は熱伝導率だけでは決まりません。
単純化するとTIM内部の熱抵抗は、
R ≒ t ÷(k × A)
で考えられます。
tはTIMの厚み、kは熱伝導率、Aは接触面積です。
実際にはさらに、TIMと発熱体、TIMと冷却器それぞれの接触熱抵抗が加わります。
したがって、
高いk値
だけではなく、
どれだけ薄く使えるか
表面にどれだけ密着するか
どれだけ圧力をかけられるか
反りに追従できるか
を同時に見る必要があります。
1. 実際に見るべきは総熱抵抗
同じ熱伝導率のTIMでも、接触状態が違えば冷却性能は変わります。
硬い材料が表面の微細な凹凸へ追従できなければ、界面に空隙が残ります。
反対に、熱伝導率が多少低くても薄く均一に実装でき、界面に密着する材料の方が実装時の熱抵抗を小さくできる場合があります。
Parker ChomericsのGEL 50TBLも、バルク熱伝導率5.0W/mKだけでなく、0.05mmという最小BLTや低い圧縮力、pump-outしないことなどを性能として示しています。
これは現在のTIMが、W/mKだけでは評価されていない例です。
2. BLTは薄ければよいとは限らない
BLTとはBond Line Thicknessの略で、部品を組み立てた後に残るTIM層の実際の厚みです。
同じ材料なら、一般にTIM層が薄い方が材料内部の熱抵抗を小さくできます。
ところが、実装面が完全に平坦とは限りません。
パッケージの反り、部品高さの公差、コールドプレートの平面度などがあるため、単純にTIMを薄くすると一部が接触しなくなる可能性があります。
つまり必要なのは、
「最薄のTIM」
ではなく、
「実際の反りと公差を吸収した上で最小化できるBLT」
です。
Indium Corporationも、平坦な面用と、より大きな反りや非平面性を吸収する製品を分け、TIMの厚さや圧縮性を変えています。
3. 圧縮力には上限がある
TIMは圧力を加えることで表面へ密着し、接触熱抵抗を下げられる場合があります。
だからといって締め付ければ締め付けるほどよいわけではありません。
AMDのガイドでは、TIMにかかる圧力を測定し、熱接触性能だけでなくパッケージの機械的健全性を考慮して適切な圧力を選ぶことを推奨しています。
AI向け半導体は大型化しています。
そのため、
TIMを押したい
一方で、
半導体や基板へ過度な機械応力を与えたくない
という相反する条件が発生します。
ここから低圧でも追従しやすい材料、柔軟な材料、低弾性材料の価値が上がる可能性があります。
4. 大型パッケージでは反りへの追従が重要
AI向け半導体ではGPUだけではなく、HBMなど複数の発熱要素が近接します。
そのため発熱分布も均一ではありません。
信越化学はAI半導体について、主回路に加えてHBMなどが組み合わされることで発熱が均一でなくなり、動作時の反りや変形も均一ではないため、TIM側もその変化へ追従する必要があると説明しています。
これは非常に重要です。
TIM市場を見る場合、
熱伝導率
だけを見るのではなく、
柔軟性
低弾性
圧縮性
反り追従性
接触面積
といった機械特性を見る必要があります。
Indium Corporationも、大面積ダイの反りへ対応する圧縮性金属TIMを展開しており、反りと必要圧力を製品設計条件として扱っています。
5. 絶縁性が必要かは使用場所で変わる
「TIMには絶縁性が必要」
と一律に考えるのも危険です。
AMDは、一部の金属系TIMが導電性を持つため、周辺部品への汚染リスクも含めて注意する必要があると説明しています。
一方、高い熱伝導性能を求める用途では金属や導電系材料も候補になります。
Indium Corporationの圧縮性金属TIMでは純インジウムの熱伝導率86W/mKが示されています。
ナミックスもデータセンター/サーバー向け高性能半導体パッケージを用途として、硬化後70W/mKの導電性熱硬化型TIMを公開しています。
したがって今後は、
絶縁性が高いTIMが勝つ
でも、
導電性TIMが置き換える
でもありません。
界面ごとに、
電気的に絶縁する必要があるか
材料が周辺回路へ移動する可能性はないか
必要な熱抵抗はいくらか
を分けて判断する必要があります。
6. pump-outと熱サイクル耐久性
AIサーバーは常に同じ負荷で動くとは限りません。
負荷変動による温度変化が繰り返されれば、材料とパッケージの熱膨張差によってTIMへ機械的な動きが加わります。
グリース系材料では、こうした温度サイクルによって材料が界面から徐々に移動するpump-outが問題になる場合があります。
AMDも、低品質の材料では硬化や漏れ、pump-outが長期信頼性を低下させる可能性を説明しています。
Indium Corporationが金属TIMの特徴としてpump-outがないことを訴求しているのも、この問題が実装性能に関係するためです。
したがって、AIサーバー向けTIMでは、
初期熱抵抗
だけではなく、
数百、数千、あるいは要求された回数の温度サイクル後にどうなるのか
を見る必要があります。
7. 塗布・組立・リワーク性
性能の高いTIMでも、量産できなければサーバーには採用しにくくなります。
液状TIMなら、
粘度
吐出量
ディスペンス速度
ボイド
硬化条件
保管条件
などが量産性に影響します。
シートなら、
打ち抜き
貼り付け
位置精度
厚み公差
剥離
リワーク
などが関係します。
ナミックスの高熱伝導TIMも、熱伝導率だけでなくディスペンス可能であることや硬化条件を公開しています。
Parkerも自動ディスペンスとリワーク性を製品特性として挙げています。
材料単体ではなく、
量産工程へ入れられるTIM
であることが重要になります。
AIサーバーで需要が変わるTIMの種類
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今後の市場は一つの材料へ統一されるより、使用場所によってTIMが細分化していく可能性があります。
| TIMの種類 | 強み | 注意点 | AIサーバーでの需要の見方 |
|---|---|---|---|
| グリース・ゲル | 薄膜化、密着性、塗布性 | pump-out、塗布管理 | 薄い界面や量産ディスペンス |
| ギャップフィラー | 高さ違い、凹凸追従 | 厚くすると熱抵抗増 | VRM・電源・高さ違い部品 |
| 放熱シート・パッド | 作業性、厚み管理、絶縁設計 | 圧縮・硬度管理 | 絶縁や公差吸収用途 |
| 相変化材料 | 薄い界面へ適用しやすい | 使用温度・実装条件 | 高性能CPU/GPU周辺候補 |
| 熱硬化型TIM | 固定、薄膜、高熱伝導化可能 | 硬化工程、リワーク | 半導体パッケージ用途 |
| 圧縮性金属TIM | 高熱伝導、低熱抵抗、pump-out回避 | 導電性、圧力、コスト | 高熱流束の界面候補 |
| グラファイト系TIM | 高熱伝導設計が可能 | 導電性、異方性 | 高発熱パッケージの候補 |
ここで重要なのは、
最も熱伝導率が高いTIMがすべての場所を取るわけではない
という点です。
例えば、絶縁が必要な場所へ導電性金属TIMをそのまま使えるとは限りません。
逆に、非常に薄い高熱流束界面へ厚い絶縁パッドを使用すれば、TIM層そのものが熱抵抗になる可能性があります。
界面ごとに違う材料が残るため、AIサーバーのTIM市場は「単一材料への集約」より「用途別の高機能化」が進むと考える方が現実的です。
TIM市場で起きている日本メーカーの動き
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公開情報を見ると、日本メーカー側でもAI・高性能半導体の熱対策を意識した動きが確認できます。
信越化学工業
信越化学はシリコーンをベースとしたTIMを展開しています。
AIチップについて、発熱場所、HBM、パッケージの反りや変形に合わせてTIMを調整する必要があると公式に説明しています。
これはTIMメーカーの役割が、
既製品を販売する
から、
チップ構造と冷却構造に合わせて材料特性を調整する
方向へ広がっていることを示す一例です。
レゾナック
レゾナックは2024年、AI向け高性能半導体チップなどに使用するNCFとTIMの生産能力を従来の3.5~5倍に増強すると発表しました。
設備投資額は150億円とされています。
AI需要が単なる研究テーマではなく、材料メーカーの生産能力投資にまで波及している具体例です。
ナミックス
ナミックスはデータセンター/サーバー向け高性能半導体パッケージへの使用を想定した高熱伝導TIMを公開しています。
導電性の熱硬化型ペーストで、同社の測定条件では硬化後70W/mKとされ、大型パッケージへ対応するため低弾性も特徴としています。
ただしメーカーによって熱伝導率の測定方法や試験構成が異なります。
W/mKだけを横並びにして優劣を判断するのは避けた方がよいでしょう。
積水ポリマテック
積水ポリマテックのTIMLIGHTシリーズを見ると、熱伝導率だけではなく、
硬さ
体積抵抗
絶縁破壊強度
厚み
使用温度
などが仕様として公開されています。
例えば熱伝導率7W/mKのグレードでも、絶縁性や柔軟性と組み合わせて製品化されています。
この仕様表を見るだけでも、TIMが「W/mKだけの商品」ではないことが分かります。
材料以外にも需要は広がる
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TIM市場の拡大を材料メーカーだけの話と考える必要はありません。
材料を量産するためには、
熱伝導フィラー
樹脂・シリコーン
混練
脱泡
シート成形
コーティング
打ち抜き
ディスペンス
硬化
厚み測定
圧力測定
熱抵抗測定
温度サイクル試験
などが関係します。
ここから先は公開情報をもとにした本記事の分析ですが、AI向けTIMの要求性能が高まるほど、
材料そのもの
だけでなく、
加工技術
塗布設備
検査設備
信頼性評価
まで需要が波及する可能性があります。
特に「カタログ値」から「実装状態の性能」へ評価軸が移れば、材料を作れる会社だけでなく、実際のBLT、圧力、反りを再現して熱抵抗を評価できる企業の価値も高くなります。
2026年10月には、山陽小野田市立山口東京理科大学などが、液浸冷却環境でTIMの接触熱抵抗を連続評価する技術を発表しました。
冷却液への曝露、温度、圧力によってTIMの性能が時間とともにどう変わるかを評価する取り組みです。
これは将来的に、
液浸対応
という新しい評価条件がTIM選定へ加わる可能性を示しています。
営業・調達で確認すべきTIMのRFQ項目
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AIサーバー向けTIMを提案するとき、
「熱伝導率は何W/mK必要ですか」
だけを聞くと、条件不足になる可能性があります。
最低でも次の項目を確認した方がよいでしょう。
| 確認項目 | なぜ必要か |
|---|---|
| 使用位置 | TIM1、TIM1.5、TIM2、ギャップ用途などで条件が変わる |
| 発熱量・熱流束 | 必要な熱抵抗を決める |
| 接触面積 | 熱抵抗計算に必要 |
| 接触する材質 | 濡れ性・接着・腐食などに影響 |
| 最小・最大ギャップ | 必要BLTを決める |
| 平面度・反り | TIMの追従性に影響 |
| 組立後BLT | 実際の熱抵抗に直結 |
| 許容圧力 | TIM性能とパッケージ応力の両方に関係 |
| 圧縮率・硬度 | 公差吸収と部品への負荷に関係 |
| 絶縁要求 | 導電TIMを使用できるか判断 |
| 使用温度 | 材料劣化・硬化・粘度に関係 |
| 温度サイクル | pump-outや長期性能を確認 |
| 冷却液との接触 | 液浸用途では材料適合性が必要 |
| リワーク要否 | 硬化型、シート、金属などの選択に影響 |
| 塗布・実装方法 | ディスペンス、貼付、硬化設備を決める |
| 必要寿命 | 初期性能だけでなく経時変化を評価 |
| 熱抵抗の評価条件 | メーカー間比較の前提をそろえる |
材料メーカーからすると、この表はそのまま営業ヒアリング項目になります。
調達側からすると、TIMメーカーへ見積依頼を出す前の仕様整理表になります。
重要なのは、
製品名を先に決めない
ことです。
先に使用条件を決め、その条件を満たすTIMを比較する方が選定しやすくなります。
TIMの営業先は材料を実際に買う会社だけではない
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TIM市場へ参入する場合、データセンター運営会社だけを営業先にしても採用へつながらない可能性があります。
TIMの仕様決定には、
半導体・パッケージ側
サーバー設計側
冷却モジュール側
製造・実装側
など複数の企業が関係する可能性があるためです。
営業先候補は概念的に、
AI半導体・パッケージ関連企業
↓
サーバーOEM・ODM
↓
コールドプレート・冷却モジュールメーカー
↓
サーバー組立・EMS
↓
材料加工・コンバーター
↓
評価・試験関連企業
という範囲まで見る必要があります。
ただし、公開情報だけから特定企業間の採用関係や購買関係を推測してはいけません。
「誰が使うか」
だけでなく、
誰が仕様を決めるか
誰が認定するか
誰が量産工程へ組み込むか
を分けて調査することが重要です。
今後TIM市場を見るときの指標
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AIサーバー向けTIM市場を追う場合、市場規模だけを見るより次の変化を追った方が実務では役立ちます。
GPUの最大消費電力。
AIパッケージ面積とHBM構造。
ラック設計電力。
Direct-to-Chip液冷の採用拡大。
要求BLT。
パッケージの反り。
TIMにかけられる圧力。
導電型と絶縁型の使い分け。
pump-outなど信頼性要求。
液浸冷却液との材料適合性。
材料メーカーの生産能力増強。
これらを追うことで、
AI市場が伸びている
というニュースを、
次にどのTIM、材料、設備が必要になるのか
へ変換できます。
ASHRAEも、AIラック密度の上昇とDirect-to-Chip液冷の重要性を明確にしています。
したがってTIMは、AIサーバーの周辺材料ではなく、半導体から冷却系へ熱を受け渡す重要な界面材料として見る必要があります。
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この記事ではAIサーバー向けTIMに絞り、
熱伝導率
BLT
圧縮
反り
絶縁
耐久性
実装
という選定条件を整理しました。
一方、実際の放熱市場にはTIMだけでなく、
グラファイト
ヒートシンク
ヒートパイプ
ベイパーチャンバー
コールドプレート
QD
CDU
冷却液
センサー
なども関係します。
「電子機器の放熱材料・冷却部品市場2027-2030」では、TIMを含む放熱・液冷市場を、市場、技術、メーカー、国内案件、営業先、新規参入、RFQまで整理しています。
PDF147ページ+Excelデータの法人向け調査資料です。
FAQ
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AIサーバーが液冷になればTIMは不要になりますか?
不要にはなりません。
Direct-to-Chip液冷でも、GPUやCPUからコールドプレートへ熱を渡す界面にはTIMが必要になる構造があります。
液冷になることでTIMの役割が消えるのではなく、界面熱抵抗を小さくする重要性が高まります。
TIMは熱伝導率が高いほど性能がよいのでしょうか?
必ずしもそうではありません。
実際の性能は熱伝導率だけでなく、BLT、接触熱抵抗、圧力、反り、表面への追従性などで変わります。
カタログのW/mKだけを比較するのは不十分です。
TIMは薄いほどよいのでしょうか?
同じ材料なら薄い方が材料内部の熱抵抗を小さくしやすくなります。
ただしパッケージや冷却部品には反り・公差があるため、薄くしすぎて接触が失われれば逆効果です。
最小厚みではなく、実装後の適正BLTを見る必要があります。
AIサーバーでは絶縁TIMが必要ですか?
使用場所によります。
電気絶縁が必要な場所では絶縁TIMが重要ですが、高熱流束用途では導電性材料や金属TIMも選択肢になります。
電気要求と熱要求を分けて判断する必要があります。
pump-outとは何ですか?
温度変化や材料間の熱膨張差によって、グリースなどが界面から徐々に移動してしまう現象です。
TIMが減少すると熱抵抗が増え、長期的な冷却性能低下につながる可能性があります。
金属TIMがシリコーン系TIMをすべて置き換えますか?
その可能性は低いと考えられます。
金属TIMは高い熱伝導性能を持つ一方、導電性、必要圧力、実装方法などに制約があります。
絶縁や大きな公差吸収が必要な場所では、シリコーン系シートやゲルなどが引き続き必要です。
日本企業にTIM市場の機会はありますか?
すでに公開情報で動きが確認できます。
レゾナックはTIMなどの生産能力増強を発表しており、信越化学、ナミックス、積水ポリマテックなども関連する熱対策材料を展開しています。
TIMメーカーへ問い合わせる前に何を決めればよいですか?
少なくとも使用位置、発熱条件、接触面積、BLT、反り、圧力、絶縁要求、使用温度、耐久条件、実装方法を整理してください。
「10W/mK以上」といった熱伝導率だけの指定より、実際の使用条件を伝えた方が適切な材料を選びやすくなります。
まとめ
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AIサーバーの高発熱化によって、TIM市場は「熱伝導率競争」だけでは説明できなくなっています。
覚えておきたいのは次の5点です。
- GPU高発熱化とラック高密度化で、半導体から冷却器までの熱抵抗低減が重要になる。
- Direct-to-Chip液冷になっても、GPU・CPUとコールドプレートの間にはTIMが残る。
- TIMは熱伝導率だけでなく、BLT、圧力、反り、絶縁、耐久性を含めて選ぶ必要がある。
- 金属TIM、グリース、ゲル、シートなどは一つへ統一されず、用途別に高機能化する可能性が高い。
- 市場機会はTIM材料だけでなく、フィラー、加工、ディスペンス、検査、信頼性評価まで広がる可能性がある。
自社でAIサーバー向け放熱市場への参入を検討するなら、
「TIMを作れるか」
から考えるのではなく、
「どの熱源と冷却部品の間に、どのような界面課題があるのか」
から調べることが最初の一歩です。
そこから必要なBLT、圧力、絶縁、耐久条件を逆算すると、自社材料や加工技術が入れる場所が見えやすくなります。

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