
AIデータセンターの拡大を見るとき、多くの人はGPU、電力、液冷に注目します。
しかし、今後もう一つ重要になる制約があります。
「水」です。
ただし、
AIデータセンターで水不足が起きる
↓
液冷が増える
と単純に考えるのは正確ではありません。
液冷になっても、最後に熱を冷却塔へ送り、水を蒸発させて外へ捨てているなら、施設側では依然として水が必要です。
逆に、水をほとんど消費しないデータセンターでも、サーバー内部では大量の液体を循環させている場合があります。
つまり、水問題から次の需要を読むには、
GPU
↓
コールドプレート
↓
CDU
だけでは足りません。
その先にある、
施設配管
↓
熱交換器
↓
チラー
↓
ドライクーラー
↓
冷却塔
↓
水処理
↓
再生水
↓
監視・制御
まで見る必要があります。
水使用制約が強まるほど、データセンターの冷却市場は「冷やす装置」から「熱と水を管理する巨大な設備市場」へ広がっていきます。
AIデータセンターの水問題は「サーバーを水で冷やすから」だけではない
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
データセンターで水が消費される大きな理由の一つは、サーバーへ水を流すことそのものではありません。
最終的に熱を大気へ逃がす工程です。
従来型の設備では、
サーバー
↓
室内空気
↓
冷水
↓
チラー
↓
冷却塔
↓
大気
という形で熱を移動させる構成があります。
冷却塔では水の一部を蒸発させることで熱を大気へ逃がします。
このため、蒸発した分の補給水が必要です。
さらに、水だけが蒸発すると水中のミネラル濃度が上昇します。
そのまま循環させ続ければ、
スケール
腐食
微生物
熱交換効率低下
などの問題が発生します。
そのため一定量の水を排出する「ブローダウン」も必要になります。
米国DOEは、冷却塔の濃縮倍数を3倍から6倍に高めた場合、補給水を約20%、ブローダウンを約50%減らせる例を示しています。The Department of Energy’s Energy.gov
ここから分かるのは、
データセンターの水問題は、
「水を使うか使わないか」
ではなく、
「熱を最後にどの方法で大気へ捨てるのか」
という問題だということです。
最初に理解したい「液冷」と「水使用量」は別の話
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
AIデータセンター市場では、
液冷=節水
と理解されることがあります。
しかし、これは条件付きです。
液冷が得意なのは、
GPUやCPUから効率よく熱を回収すること
です。
一方、
その熱を施設外へどう排出するか
は別の設計問題です。
閉ループでも最終放熱に冷却塔を使えば水は必要
Direct-to-Chip方式では、
GPU・CPU
↓
コールドプレート
↓
冷却液
↓
CDU
という経路で熱を回収できます。
CDUの中では、サーバー側の冷却液と施設側の冷却水を熱交換器で分離する構成があります。
サーバー側は密閉された閉ループです。
ここだけを見ると、水を繰り返し使用しているため、大量の補給水は必要ありません。
しかし、
CDU
↓
施設冷水
↓
冷却塔
という構成なら、最終段の冷却塔で依然として水が蒸発します。
DOEが紹介するDirect Liquid Coolingの例でも、閉ループからCDUを経て、最終的に冷却塔へ熱を送る構成が示されています。The Department of Energy’s Energy.gov
したがって、
「閉ループ液冷だから水使用ゼロ」
とは限りません。
ここはAIデータセンター市場を見るうえで重要なポイントです。
水を使わない冷却では最後の放熱先が変わる
水消費を大幅に減らすには、
冷却塔で水を蒸発させる
という工程そのものを減らす必要があります。
そこで候補になるのが、
ドライクーラー
空冷式チラー
ハイブリッド冷却
などです。
ドライクーラーは、水や水・グリコールなどの密閉された液体ループから、フィンコイルとファンを通して直接大気へ熱を逃がします。
蒸発を利用しないため、通常の運転では冷却塔のような補給水を必要としません。
Muntersもデータセンター用ドライクーラーについて、閉じた液体ループから外気へ熱を放散し、蒸発冷却用のプロセス水を消費しない方式と説明しています。datacenter.munters.com
ただし無料ではありません。
外気温が高い環境では、蒸発冷却より熱を捨てにくくなります。
そのため、
大型コイル
多数のファン
高い送風量
チラー
などが必要になる場合があります。
つまり、
水を減らせば電力負荷が増える
というトレードオフがあります。
Microsoftも、水の蒸発をなくす機械式冷却への移行ではPUEに影響する可能性がある一方、チップレベル冷却で高い冷却水温度を利用することで電力増加を抑える考えを説明しています。Microsoft
AIデータセンターでは今後、
PUEだけ
WUEだけ
ではなく、
電力と水を同時に最適化する
という設計が重要になります。
水使用制約が強くなると需要が増える設備を整理する
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。

では、水の確保が難しくなった地域では何が売れるのでしょうか。
設備を整理すると、次のようになります。
| 水対策 | 需要が増える可能性がある設備 | さらに必要になる部品 |
|---|---|---|
| サーバー側閉ループ化 | CDU、コールドプレート | ポンプ、熱交換器、QD、ホース、バルブ |
| 蒸発水削減 | ドライクーラー | フィンコイル、ECファン、モーター、インバーター |
| 水を使わない熱源 | 空冷チラー | 圧縮機、熱交換器、制御部品 |
| 冷却塔の節水 | ろ過、RO、薬注 | フィルター、膜、ポンプ、センサー |
| 再生水利用 | 水処理設備 | UF、RO、タンク、配管、殺菌設備 |
| WUE改善 | 水量・水質監視 | 流量計、導電率計、水位計、漏水センサー |
| 高効率運転 | 統合制御 | PLC、制御基板、通信、BMS |
重要なのは、
「水不足だから一つの商品が売れる」
のではないことです。
設計が変わることでBOM全体が変わります。
閉ループ液冷設備
まず増える可能性が高いのが、サーバー側の液体ループです。
代表的なのはCDUです。
CDUは単なる箱ではありません。
内部には、
プレート式熱交換器
ポンプ
バルブ
フィルター
膨張タンク
配管
流量計
温度センサー
圧力センサー
漏液監視
制御基板
などが組み込まれます。
水使用制約そのものだけでDirect-to-Chip需要が決まるわけではありません。
しかし、
高発熱GPUを効率よく冷却しながら、より高い水温で熱を回収する
ことができれば、その後段にドライクーラーなどを使える条件を広げられます。
つまり、
液冷は節水設備そのものというより、
水を使わない最終放熱を可能にしやすくする前工程
と考える方が分かりやすいでしょう。
ドライクーラー
水問題から見たとき、特に注目したい設備がドライクーラーです。
ドライクーラーでは、
温められた水・グリコール
↓
フィンコイル
↓
外気
↓
大気
へ熱を移します。
冷却塔のように水を大気へ蒸発させません。
そのため水使用制約が強い場所では重要な選択肢になります。
ただし設備を分解すると、
コイル
銅管・アルミ管
アルミフィン
大型ファン
ECモーター
インバーター
軸受
制御基板
筐体
防食コーティング
温度センサー
圧力センサー
など、多くの部品が存在します。
製造業の営業という視点では、
「ドライクーラー市場が伸びる」
で終わらせてはいけません。
ドライクーラー1台のBOMまで下げる必要があります。
日本でも三菱重工はラック型液浸冷却システムと自社製ドライクーラーを組み合わせる構成を公表しており、7kW級から300kW級までのラインアップを紹介しています。Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.
篠原電機も生成AIサーバー向けラック型ドライクーラーを展開し、サーバールーム全体への水道管工事を不要にする構成を公開しています。shinohara-elec.co.jp
水制約はデータセンター事業者だけの問題ではありません。
熱交換器メーカー。
ファンメーカー。
モーターメーカー。
金属加工メーカー。
コーティングメーカー。
制御機器メーカー。
まで需要が波及します。
空冷チラー・ハイブリッド冷却
ドライクーラーだけでは、真夏の高温時に必要な冷却能力を確保できない地域もあります。
その場合、
通常時はドライクーラー
高温時はチラー
というハイブリッド設計が候補になります。
NTTデータの「Data Center Trial Field」でも、ドライクーラーとチラーを一体化した熱源を用いて液体冷却設備の検証を行える構成が公開されています。NTTデータ
この設計では、
チラー
熱交換器
冷媒回路
ポンプ
バルブ
制御盤
温度センサー
外気センサー
インバーター
などが必要になります。
つまり水不足が進んだからといって、
「冷却装置の需要が減る」
わけではありません。
むしろ水の代わりに、
熱交換面積
ファン能力
制御
冷凍機
が増える可能性があります。
熱交換器
今後、水制約型データセンターで特に増えやすい部品の一つが熱交換器です。
理由は、液体回路を分離する場面が増えるためです。
例えば、
サーバー冷却液
↓
CDU
↓
施設冷水
を分離する。
さらに、
施設冷水
↓
ドライクーラー
へ熱を渡す。
再生水を利用する場合には、
水質の異なる回路を分離する
という設計も考えられます。
その結果、
プレート式熱交換器
ろう付けプレート式熱交換器
ガスケット式熱交換器
フィンコイル
などの需要につながります。
水市場を見る場合でも、
実際には熱交換器市場
へ波及する可能性があるわけです。
冷却塔はなくなるのではなく「水を賢く使う設備」へ変わる
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
水不足という話を聞くと、
「冷却塔はいずれなくなるのではないか」
と考えたくなります。
しかし、一気に消えるとは考えにくいでしょう。
蒸発冷却には、
少ない電力で大量の熱を放出しやすい
という大きな利点があります。
特に高温地域では、このメリットは無視できません。
そのため、
冷却塔を廃止する
だけでなく、
冷却塔で使う水を減らす
という方向にも設備投資が発生します。
サイドストリームフィルター
循環水の一部を連続的にろ過し、
砂
泥
有機物
懸濁物
などを取り除く設備です。
DOEもサイドストリームろ過によって、熱交換面の汚れや微生物増殖を抑え、冷却設備を適正な効率で運転しやすくなると説明しています。The Department of Energy’s Energy.gov
ここでは、
スクリーンフィルター
ディスクフィルター
砂ろ過
遠心分離
カートリッジ
などの市場があります。
RO・膜処理
冷却塔から排出されるブローダウン水をROで処理して再利用すれば、新たに取水する水量を減らせます。
その代わり、
RO膜
高圧ポンプ
前処理フィルター
薬注装置
圧力計
流量計
導電率計
タンク
配管
が必要です。
つまり、
水を捨てない
という要求は、水処理設備需要へ変わります。
薬注・水質監視
水を繰り返し使えば使うほど、水質管理は難しくなります。
濃縮が進むと、
カルシウムなどによるスケール
腐食
微生物
などの問題が増えます。
そこで、
スケール防止剤
腐食防止
殺菌
薬注ポンプ
導電率計
pH計
ORP計
などの重要性が高まります。
Nalco Waterもデータセンター向けに、腐食、スケール、微生物制御、水使用効率を対象とした冷却水管理を展開しています。エコラボ
栗田工業グループもデータセンター向けとして、
冷却水処理
膜処理
RO
再生水
排水回収
水質監視
などを一つの分野として展開しています。Kurita Water ASEAN
水不足は、水処理会社にとってもデータセンター市場への入口になります。
再生水を使うと新しい設備市場が生まれる
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
水不足への対策は、
使う量を減らす
だけではありません。
飲料水以外を使う
という方法もあります。
代表的なのが再生水です。
AWSは2026年7月時点で、世界26のデータセンターで再生水を使用し、130以上の拠点への拡大を計画していると公表しています。Amazon Web Services, Inc.
香港では、AWSデータセンターで冷却用に再生水を利用する取り組みも公表されています。Amazon Web Services, Inc.
ただし再生水を導入すれば、水道水と同じ設備でそのまま使用できるとは限りません。
水質に応じて、
スクリーン
ろ過
UF
RO
殺菌
薬注
貯水タンク
送水ポンプ
配管
水質センサー
などが必要になります。
さらに自治体側には、
再生水管
ポンプ
貯留設備
などのインフラも必要になる場合があります。
つまりAIデータセンターの水問題は、
データセンター設備市場
だけではなく、
上下水道設備
産業用水処理
ポンプ
配管
膜
計装
まで広がります。
水問題から逆算すると小さな部品需要まで見える
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
データセンターのニュースを見ると、
CDU
チラー
冷却塔
といった大きな装置へ目が行きます。
しかし製造業の営業では、その中身を分解した方が現実的です。
例えばドライクーラーなら、
ファン
モーター
軸受
フィン
銅・アルミ配管
防食材料
インバーター
制御基板
温度センサー
です。
水処理装置なら、
ポンプ
フィルター
膜
バルブ
流量計
圧力計
導電率計
Oリング
樹脂配管
です。
閉ループ液冷なら、
熱交換器
ポンプ
ホース
QD
シール
フィルター
流量センサー
漏液センサー
です。
設備市場
↓
ユニット
↓
部品
↓
材料
まで下げると、中小メーカーでも参入可能な場所が見えてきます。
特に狙いやすいのは、
大型装置を丸ごと作る企業
だけではありません。
「その設備メーカーへ部品を供給できる企業」
です。
日本企業はすでに水制約型データセンター市場へ入り始めている
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
公開情報だけでも、日本企業の動きが確認できます。
三菱重工
データセンター向け液冷却システムを展開し、水消費量削減を価値の一つとして掲げています。Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.
ラック型液浸冷却とドライクーラーを組み合わせるシステムも開発しています。Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.
三菱電機
2026年の事業説明では、
Direct Liquid Cooling
フリークーリング
次世代高効率ドライクーラー
データセンター監視・制御
を次世代冷却システムの重点領域として示しています。三菱電機 オフィシャルサイト
ニデック
AIデータセンター向けCDUを展開しています。NIDEC CORPORATION
水問題の記事でCDUだけを見るのは不十分ですが、サーバー側の高温液冷ループを構成する重要設備として関係します。
栗田工業
水処理という別の入口があります。
同社はデータセンター需要の拡大と水確保の問題について、事業機会を検討していることを2026年の決算説明会Q&Aでも説明しています。Kurita Water Industries
ここから分かるのは、
AIデータセンター市場=IT企業
ではないことです。
空調。
熱交換。
ポンプ。
ファン。
モーター。
水処理。
膜。
薬品。
計装。
配管。
こうした従来型の製造業が、AIインフラ産業へ接続し始めています。
製造業の営業では誰に売るべきか
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
ここは非常に重要です。
水制約型データセンターへ参入したいからといって、最初からMicrosoftやAWSへ営業すればよいとは限りません。
部品によって仕様決定者が異なります。
| 自社製品 | 主な営業先候補 |
|---|---|
| ファン・モーター | ドライクーラー、チラー、空調機メーカー |
| 熱交換器部品 | CDU、チラー、熱源設備メーカー |
| ポンプ・バルブ | CDU、水処理、空調設備、EPC |
| RO膜・フィルター | 水処理会社、設備会社 |
| 水質センサー | 水処理会社、中央監視メーカー |
| 温度・流量センサー | CDU、チラー、制御盤メーカー |
| 配管・継手 | EPC、設備工事会社、液冷システムメーカー |
| 防食材料 | 熱交換器、ドライクーラー、冷却塔メーカー |
| Oリング・シール | ポンプ、バルブ、QD、液冷機器メーカー |
| 制御基板 | CDU、チラー、水処理、BMS関連メーカー |
営業で確認するべきなのは、
誰が使用するか
だけではありません。
誰が設計するのか。
誰が仕様を決めるのか。
誰が認定するのか。
誰が購買するのか。
です。
例えばファンなら、データセンター事業者よりドライクーラーメーカーの方が現実的な営業先になる場合があります。
RO膜なら、水処理会社やEPCです。
流量センサーなら、CDUメーカーや設備制御メーカーが候補です。
AIというキーワードから顧客を探すのではなく、
自社部品が入る装置
↓
装置メーカー
↓
装置メーカーの設計・購買
という順番で探した方が営業先は明確になります。
今後の案件を見つけるために追うべき7つの指標
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
AIデータセンターの水関連市場を調査するなら、「AI市場規模」だけを追う必要はありません。
むしろ次の指標が重要です。
1.IT電力容量
100MW、300MW、1GWと施設が大型化すれば、最終的にはほぼ同じ規模の熱を処理する設備が必要になります。
電力容量は冷却設備需要を逆算する出発点になります。
2.ラック密度
ラック密度が高くなるほど、チップ付近で液体によって熱を回収する必要性が高まります。
3.冷却水供給温度
液冷回路で使える水温が高くなれば、外気で直接放熱できる時間が増え、ドライクーラーとの相性が良くなります。
4.WUE
WUEはWater Usage Effectivenessです。
ただし企業間で数字を比較するときは注意が必要です。
MicrosoftはFY25の世界平均WUEを0.27 L/kWhと公表しています。Microsoft Datacenters
AWSは2025年のWUEを0.12 L/kWhとしていますが、同社は「water withdrawals」、つまり取水量を基準にしています。Amazon Web Services, Inc.
GoogleがAI推論の環境影響計算で使った2023年・2024年のWUE Category 2は1.15 L/kWhですが、こちらは消費水量を使った指標です。Google
したがって、
0.12だから0.27より優れている
と数字だけで判断することはできません。
測定境界を確認する必要があります。
5.水源
上水道なのか。
工業用水なのか。
再生水なのか。
雨水なのか。
水源が変われば必要な水処理設備も変わります。
6.冷却方式
冷却塔。
ドライクーラー。
空冷チラー。
Direct-to-Chip。
液浸。
ハイブリッド。
方式が違えばBOMがまったく変わります。
7.立地
気温。
湿度。
水ストレス。
水道能力。
電力料金。
これらによって最適な冷却方式は変わります。
水が不足する場所ではドライ方式が有利になりやすい一方、暑い地域では電力とのトレードオフが大きくなります。
「水不足で何が売れるか」を一枚で整理すると
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
最も重要なのは、次の需要連鎖です。
AI計算量が増える
↓
GPU発熱量が増える
↓
高密度液冷が増える
↓
高温の熱を効率よく回収できる
↓
地域の水使用制約が強まる
↓
蒸発冷却を減らす
↓
ドライクーラー・空冷チラーが増える
↓
ファン・モーター・コイル・熱交換器が増える
一方、
冷却塔を残す施設
では、
水使用削減
↓
濃縮運転
↓
水質管理高度化
↓
ろ過
↓
RO
↓
薬注
↓
センサー
↓
制御
という別の需要が生まれます。
さらに、
飲料水を使いたくない
↓
再生水を使う
↓
水質処理
↓
貯水
↓
送水
↓
監視
という市場もできます。
水不足という一つの制約から、
液冷
熱源
熱交換
水処理
膜
ポンプ
ファン
計装
制御
まで需要が広がるわけです。
FAQ
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
AIデータセンターでは本当に大量の水が必要なのですか?
冷却方式と立地によって大きく異なります。
蒸発冷却を多く利用する施設では水消費が増えますが、外気冷却、ドライクーラー、空冷チラー、閉ループなどを利用して水消費を抑えている施設もあります。
液冷にすれば水使用量はゼロになりますか?
なりません。
サーバー側が閉ループでも、施設側の最終放熱に冷却塔を使えば水は蒸発します。
「水を使わないデータセンター」とは液体を使わないのですか?
違います。
密閉回路内では水や冷却液を循環させながら、運転時に蒸発による補給水をほとんど必要としない設計があります。
Microsoftは新しいデータセンター設計で、水を閉ループ内で循環させ、冷却による水の蒸発をなくす方式を進めています。Microsoft
水不足になると最も需要が増えそうな設備は何ですか?
一つには絞れませんが、
ドライクーラー
空冷チラー
熱交換器
閉ループ冷却設備
水処理設備
水監視設備
は重要度が上がる可能性があります。
冷却塔はなくなりますか?
すぐになくなるとは考えにくいでしょう。
蒸発冷却は電力面で有利な場合があり、気候条件によっては合理的だからです。
その代わり、ろ過、RO、水質管理、再生水利用などを組み合わせて水消費を減らす方向が考えられます。
日本メーカーにも参入機会がありますか?
あります。
完成したデータセンター冷却装置だけでなく、
ファン
モーター
ポンプ
熱交換器
配管
バルブ
センサー
フィルター
膜
シール
制御機器
など、多くの製造業が関係します。
水不足地域ではドライクーラーを使えば解決しますか?
必ずしもそうではありません。
外気温が高い場所では冷却性能や電力消費が課題となるため、チラーとのハイブリッド構成なども検討する必要があります。
まとめ
この記事を読んだ方におすすめの市場調査レポート
基板実装・EMS・電子部品の営業、調達、市場調査に使える資料を紹介します。
AIデータセンターの水問題を見るとき、
「液冷市場が伸びる」
だけで終わらせるのは不十分です。
重要なのは、
サーバーから回収した熱を最後にどう捨てるか
です。
水使用制約が強まれば、
閉ループ冷却
ドライクーラー
空冷チラー
熱交換器
水処理
再生水設備
流量・水質監視
などへ需要が広がります。
一方で、冷却塔がすべてなくなるわけでもありません。
冷却塔を使いながら、
ろ過
RO
濃縮運転
水質制御
再生水
によって使用水量を減らす市場もあります。
製造業が次の案件を探すなら、
「AI向け製品を持っているか」
ではなく、
水
↓
熱
↓
設備
↓
ユニット
↓
部品
まで分解してください。
自社でポンプを作れる。
ファンを作れる。
熱交換器を作れる。
金属加工ができる。
センサーを作れる。
フィルターを作れる。
膜を扱える。
配管を作れる。
シール材を作れる。
そのどれかに当てはまれば、AIデータセンター市場と接点を作れる可能性があります。
次に確認すべきなのは、
「自社の製品が、CDU、ドライクーラー、チラー、水処理設備のどこに入るのか」
です。
そこまで分解すれば、AIデータセンターの水問題は、環境ニュースではなく具体的な営業案件として見えるようになります。

コメント