
AIサーバー市場というと、NVIDIAのGPUやHBMばかりが注目されます。
しかし、製造業の営業や新規事業という視点で見るなら、GPUだけを見ても営業先はほとんど増えません。
重要なのは、その外側です。
AIサーバーを1ラック単位で分解していくと、
GPU
CPU
HBM
ICパッケージ基板
PCB
基板材料
電源
バスバー
コネクタ
ケーブル
TIM
コールドプレート
QD
マニフォールド
MLCC
コンデンサー
抵抗器
インダクター
センサー
ファン
など、非常に多くの部品が出てきます。
むしろ日本の製造業にとっては、GPUそのものより、この「周辺に広がるBOM」の方が重要です。
今回はAIデータセンターという建物全体ではなく、あえて「1ラックの内側」だけを見ます。
そして、
どのような部品が入っているのか。
日本企業がどこで関係できるのか。
営業するとしたら誰を狙うのか。
という順番で整理します。
なお、AIサーバーはメーカーや世代によって構成が異なります。
この記事では具体例としてNVIDIAのGB200 NVL72、GB300 NVL72などのラックスケールシステムを参考にしますが、すべてのAIサーバーラックが同じBOMになっているという意味ではありません。
AIサーバー1ラックは「GPUを並べた箱」ではない
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現在のAIサーバーを理解するとき、最初に変えたいのが「サーバー1台」という見方です。
高性能AIシステムでは、ラックそのものが一つの巨大な計算機に近づいています。
NVIDIAのGB200 NVL72の場合、1ラックに36基のGrace CPUと72基のBlackwell GPUが構成されます。
しかし、それだけではありません。
NVIDIAが公開しているDGX GB Rack Scale Systems User Guideによれば、NVL72ラックには、
18台の1RUコンピュートトレイ
9台のNVLinkスイッチトレイ
2台の管理用Top-of-Rackスイッチ
電源棚
バスバー
液冷マニフォールド
などが含まれています。
つまり、
GPUを買う
↓
ラックに取り付ける
という単純な構造ではありません。
演算する。
電力を供給する。
データを高速で移動させる。
発生した熱を取り除く。
電流や温度を監視する。
故障時に部品を交換する。
このすべてを成立させる部品が必要です。
ここが製造業にとって重要です。
AIサーバー需要を見る場合、
「GPUが何個売れるか」
だけではなく、
GPUが増えた結果、周辺で何が増えるのか
まで追う必要があります。
NVIDIA公式資料:
NVIDIA DGX GB Rack Scale Systems User Guide
AIサーバー1ラックをBOMで分解すると7層になる
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AIサーバーラックを製造業のBOMとして見る場合、大きく7つに分けると理解しやすくなります。
| 層 | 主な部品 |
|---|---|
| 演算 | GPU、CPU、HBM、ASIC、NIC |
| パッケージ・基板 | ICパッケージ基板、アクセラレータ基板、メイン基板、ネットワーク基板、電源基板 |
| 電源 | Power Shelf、PSU、バスバー、PDB、IBC、VRM |
| 接続・通信 | 高速コネクタ、電源コネクタ、銅配線、光接続 |
| 冷却 | TIM、コールドプレート、マニフォールド、QD、ホース、冷却液 |
| 受動部品 | MLCC、インダクター、コンデンサー、抵抗器 |
| 周辺 | センサー、ファン、フィルター、シール、ケーブル |
このように見ると、AIサーバー市場は半導体市場だけではないことが分かります。
むしろ、
電子部品
基板
材料
金属加工
樹脂
接続部品
流体部品
電源
熱対策
まで広がる巨大な複合市場です。
第1層 GPU・CPU・HBMとパッケージ基板
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最も分かりやすいのがGPU、CPU、HBMです。
ただし、日本の中小製造業や商社がGPUそのものへ直接参入するのは簡単ではありません。
ここで見るべきなのが、その下です。
半導体チップは単独でサーバー基板へ直接載っているわけではありません。
高性能なICパッケージ基板や実装技術が必要になります。
この領域で注目できる日本企業の一つがイビデンです。
イビデンは2026年2月、高性能ICパッケージ基板の生産能力拡大を目的として、2026年度から2028年度までの3年間で約5,000億円を投資する計画を公表しました。
対象にはAIサーバー、高性能サーバー向けICパッケージ基板が含まれます。
つまり、
AI演算需要
↓
GPU・CPU・ASIC需要
↓
先端パッケージ需要
↓
ICパッケージ基板需要
↓
基板材料・薬品・装置・検査・加工需要
という連鎖があります。
ここまで下りてくると、日本企業が関係できる範囲は一気に広がります。
GPUメーカーだけを営業先として考える必要はありません。
パッケージ基板メーカー、その工場、材料メーカー、製造装置メーカーまで見れば、営業先候補は増えます。
第2層 PCB・基板材料はラックの至るところにある
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AIサーバーで見落とされやすいのがPCBです。
1ラックには1枚だけ基板が入っているわけではありません。
アクセラレータ基板。
メイン基板。
ネットワーク基板。
メモリーモジュール。
スイッチ基板。
電源基板。
管理基板。
さまざまな場所にPCBがあります。
しかもAIサーバーでは、高速信号と大電流を同時に扱います。
そのため、
高多層化
高密度化
低伝送損失
大電流対応
放熱
高速信号品質
といった要求が強くなります。
ここは日本企業が非常に分かりやすく関係できる領域です。
メイコーは2026年の展示で「DataCenter向け全方位PCB戦略」を掲げ、AIサーバー対応高密度多層基板を公開しています。
同社の公開資料では28層のAIサーバー対応高密度多層基板の例も示されています。
さらにメイコーのサーバー基板構成資料を見ると、
GPUモジュール
Accelerator Board
Main Board
Network Board
Memory Module
Power Supply Board
など複数種類のPCBが示されています。
これは重要です。
AIサーバー需要をPCBの枚数だけで見るのではなく、
「1ラックの中に何種類のPCBが存在するか」
で考える必要があります。
さらにその上流にはCCLやプリプレグがあります。
パナソニック インダストリーはAIサーバーや高速ネットワーク向けに使われる多層基板材料MEGTRONの需要増を受け、生産能力拡大を進めています。
2026年3月には広州工場への約75億円の追加投資も発表しました。
AIサーバー市場を見るときは、
PCB
だけではなく、
銅箔
樹脂
ガラスクロス
CCL
プリプレグ
めっき薬品
ドリル
検査
実装材料
まで分解することで、さらに営業先が見えてきます。
第3層 電源棚・バスバー・電源回路が巨大市場になる
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AIサーバーでGPUと同じくらい重要なのが電力です。
演算性能が上がれば電力消費も大きくなります。
そのためラック内部では、
電源棚
電源モジュール
バスバー
電力分配基板
DC-DCコンバータ
IBC
VRM
などを使いながら、必要な電圧まで段階的に変換します。
ここで注目したいのが48V系です。
Open Compute ProjectのOpen Rack V3では48V DCの電源アーキテクチャが採用されています。
MGXラック仕様では48V系のバスバーが規定され、最大1400A対応の設計条件も示されています。
ただし、この1400Aという数値をすべてのNVIDIAラックにそのまま当てはめてはいけません。
OCP MGXの公開仕様として理解する必要があります。
ここはBtoB調査で特に注意したい部分です。
「AIラックは1400A流れる」
と一般化するのではなく、
どのラック規格なのか
どのバスバーなのか
どの電源構成なのか
を確認する必要があります。
製造業の営業という視点では、バスバー一つを見ても、
銅材
銀めっき
絶縁部品
端子
締結部品
コネクタ
樹脂部品
板金
電流センサー
温度センサー
などへ需要が分かれます。
大型の電源装置を製造できなくても、その中に入る部品なら参入余地があります。
第4層 コネクタと高速伝送部品
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AIサーバーでは大量のデータを高速で移動させる必要があります。
そのためコネクタは単なる「接続する部品」ではありません。
伝送損失。
インピーダンス。
クロストーク。
接触抵抗。
挿抜耐久。
位置ずれ。
発熱。
電流容量。
こうした性能がシステム全体へ影響します。
日本企業で分かりやすい例がヒロセ電機です。
ヒロセ電機はデータセンター・サーバー向けとして高速基板接続、高速基板対基板接続、電源用コネクタなどを公開しています。
さらにIT14シリーズは、OCP Accelerator Moduleで使用されるMirror Mezzの正式なセカンドソース製品として位置づけられており、56Gbps NRZ、112Gbps PAM4までの高速差動信号に対応します。
この事例が面白いのは、
AIサーバー
↓
GPU
だけではなく、
GPUを搭載するアクセラレータモジュール
↓
PCB同士を接続するコネクタ
というところまで市場を下りられる点です。
電源系でも同様です。
ラックの高電力化によって電源コネクタには大電流対応が必要になります。
AIサーバー部品市場では、
高速信号
と
大電流
の両方がコネクタ需要を変えていくと考えると分かりやすくなります。
第5層 TIM・コールドプレート・QDなどの液冷部品
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AIラックを考えるうえで、今後ますます重要になるのが熱です。
GB200 NVL72、GB300 NVL72は液冷を前提としたラックスケールシステムです。
NVIDIAのシステムガイドでは、コンピュートトレイ内のCPUやGPUに取り付けられたコールドプレートへ液体を流して冷却する構成が説明されています。
一方でネットワークやストレージなどの一部部品はファンによる空冷も使われています。
つまり、
液冷化
=
ファンが全部なくなる
ではありません。
液冷と空冷を組み合わせる構造になります。
熱の流れを追うと、
GPU・CPU
↓
TIM
↓
コールドプレート
↓
冷却液
↓
ホース・チューブ
↓
QD
↓
マニフォールド
↓
CDU
という流れが見えてきます。
ここには多数の部品があります。
特に日本企業で具体的な接点が確認できるのが日東工器です。
同社のCOMPACT ZEROSPILL CUPLAは、スーパーコンピューターやデータセンターなどの電子機器冷却配管向けとして明記されています。
小型、高流量、低漏液、低エア混入などを特徴としています。
これはまさに、
AIサーバー市場
↓
液冷
↓
配管
↓
着脱
↓
クイックディスコネクト
という需要連鎖です。
液冷市場を見る場合、CDUだけを見てはいけません。
QD。
ホース。
チューブ。
Oリング。
ガスケット。
バルブ。
フィルター。
流量センサー。
圧力センサー。
温度センサー。
漏液センサー。
こうした比較的小さな部品まで分解した方が、日本の中小メーカーや商社にとって現実的な営業機会が見えてきます。
TIMも液冷時代に必要
液冷になればTIMが不要になるわけではありません。
GPUやCPUで発生した熱をコールドプレートへ移すためには、部材同士の接触界面に存在する微細な空隙を埋める必要があります。
そこで、
サーマルグリース
ギャップフィラー
シート
その他の熱伝導材料
が使われます。
信越化学のシリコーン事業でも、電子機器の放熱用途向けに各種Thermal Interface Materialsが展開されています。
ただし、ここでも注意が必要です。
信越化学のTIMが特定のNVIDIAラックに採用されていると公開情報から確認できるわけではありません。
「AIサーバーでTIMが必要」
と
「このメーカーがこのラックへ採用されている」
は別の話です。
営業調査ではこの二つを分ける必要があります。
第6層 MLCC・コンデンサー・抵抗器・インダクター
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AIサーバーのBOMで非常に面白いのが受動部品です。
GPU1個の価格と比べれば、抵抗器やMLCC1個の単価は小さく見えます。
しかし、AIサーバーには多数の電源回路、制御回路、信号回路があります。
そのため、
MLCC
アルミ電解コンデンサー
導電性高分子コンデンサー
インダクター
チップ抵抗器
シャント抵抗器
などが必要です。
ここは「単価」だけでなく「搭載点数」で見る必要があります。
TDKはAIサーバー電源用MLCCを明示
TDKは2026年7月、「データセンター向け(AIサーバ)電源システムのMLCCソリューション」を公開しています。
同社はサーバー電源を、
UPS
↓
PSU
↓
IBC
↓
VRM
という電力変換の流れで整理しています。
PSUやIBCの高効率化、高出力化、省スペース化に伴い、MLCCなどの受動部品が重要になると説明しています。
これは受動部品メーカーを見るうえで非常に参考になります。
「AIサーバーにMLCCが使われる」
というだけではなく、
どの電源段に使われるのか
まで追うことが重要だからです。
コンデンサーにもAIサーバー特有の需要がある
パナソニック インダストリーもAIサーバー向け製品を展開しています。
同社はAIサーバーの瞬間的な電力変動への対策として、EDLC、電気二重層コンデンサーを使ったピークシェービング用途を提案しています。
また、導電性高分子アルミ電解コンデンサーSP-CapでもAIサーバーを用途として挙げています。
AIサーバーでは平均消費電力だけ見ても足りません。
GPU負荷の変動によって瞬間的な電力変動が発生するため、
電力をどう安定させるか
という部品需要も発生します。
抵抗器は「電流を測る部品」として見る
チップ抵抗器も同じです。
抵抗器というと、
単純に電気を流れにくくする部品
と考えがちです。
実際には、
電流検出
過電流検出
電圧分割
プルアップ・プルダウン
ダンピング
放電
など多くの用途があります。
特に高電力化したサーバーでは、電力を正しく監視する必要があります。
そのため低抵抗のシャント抵抗器なども重要になります。
KOAは大電流検出向けの超低抵抗金属板シャント抵抗器や4端子型低TCR製品などを展開しています。
ただし、公開情報だけから特定のAIラックに何個の抵抗器が搭載されているかを断定することはできません。
ここは推測で数字を作らない方がよい部分です。
調査するときは、
ラック台数
×
サーバー台数
×
抵抗器推定搭載数
という計算だけで市場規模を出すのではなく、
PSU
IBC
VRM
管理回路
ネットワーク基板
センサー回路
など、回路ごとに用途を分ける必要があります。
第7層 センサー・ファン・ケーブルなどの周辺部品
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高価なGPUを安定稼働させるには監視も必要です。
液冷システムなら、
温度
流量
圧力
漏液
などを確認する必要があります。
電源側では、
電圧
電流
温度
などの監視が必要です。
さらに前述した通り、液冷ラックであってもすべての部品を液体で冷却するわけではありません。
NVIDIAのラックスケールシステムでも、一部のネットワーク機器やストレージ機器などには空冷が残ります。
したがって、
ファン
モーター
軸受
コネクタ
ケーブル
温度センサー
制御基板
などの需要もなくなりません。
AIサーバー市場を見るとき、
「新技術が旧技術をすべて置き換える」
と考えないことも重要です。
液冷が増えても空冷は残る。
銅接続が増えても光接続は残る。
48V化が進んでも、その先ではさらに低い電圧へ変換する必要がある。
その境界に新しい部品需要が発生します。
日本企業が狙える部品を一覧で整理
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ここまでを日本企業という視点で整理します。
| 部品・材料 | 日本企業の公開例 | 注目理由 |
|---|---|---|
| ICパッケージ基板 | イビデン | AI・高性能サーバー向け設備投資を拡大 |
| 高多層PCB | メイコー | AIサーバー対応高密度多層基板を展開 |
| 基板材料 | パナソニック インダストリー | MEGTRONをAIサーバー向けに増産 |
| 高速コネクタ | ヒロセ電機 | OAM向けIT14などを展開 |
| MLCC | TDK | AIサーバー電源向け製品を明示 |
| コンデンサー | パナソニック インダストリー | AIサーバー向けEDLC、SP-Capなど |
| QD | 日東工器 | データセンター水冷向け製品を展開 |
| TIM | 信越化学 | 高熱伝導TIMを展開 |
| シャント・抵抗器 | KOA | 大電流検出・低抵抗製品を展開 |
ここで注意したいのは、
「AIサーバー関連製品を持っている」
ことと、
「特定メーカーの特定ラックへ採用されている」
ことは同じではないという点です。
採用実績が公表されていないものについて、勝手にNVIDIA向けなどと結びつけるのは避けるべきです。
一方で営業先候補を探す目的なら、
既にAIサーバー向け用途を明示しているメーカー
どの性能要求が強くなっているか
どの工程へ設備投資しているか
を調べるだけでもかなり役立ちます。
中小製造業・商社ならどこから狙うべきか
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AIサーバー市場へ入りたいからといって、いきなりGPUやサーバー完成品を狙う必要はありません。
自社の得意工程から逆算する方が現実的です。
例えば精密金属加工会社なら、
コールドプレート
マニフォールド
バスバー
金属筐体
ヒートシンク
などがあります。
樹脂・ゴム関連なら、
Oリング
ガスケット
チューブ
絶縁部品
シール
があります。
電子部品商社なら、
TIM
コネクタ
MLCC
抵抗器
コンデンサー
インダクター
センサー
などがあります。
基板実装会社なら、
電源基板
管理基板
ネットワーク基板
制御基板
の周辺から調べられます。
さらに、
洗浄
リーク試験
耐圧試験
めっき
表面処理
実装治具
検査装置
など、製造工程まで分解すれば対象はさらに増えます。
ここでのポイントは、
「AIサーバーに何を売るか」
ではなく、
「AIサーバーを作る企業が、製造工程のどこで困るか」
まで下りることです。
完成部品そのものを作れなくても、工程部材や装置、加工サービスで参加できる可能性があります。
営業先はデータセンター運営会社とは限らない
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部品を売る場合、データセンター運営会社へ営業すればよいとは限りません。
ここはかなり重要です。
例えばTIMなら、データセンター運営会社が直接材料を指定していない可能性があります。
サーバーOEMやODM。
GPUモジュールメーカー。
コールドプレートメーカー。
ラックインテグレーター。
このあたりが仕様へ関与する可能性があります。
QDなら、
液冷システムメーカー
CDUメーカー
ラックメーカー
サーバーOEM・ODM
などが重要になります。
PCB材料なら、
サーバーメーカーよりPCBメーカー
へ行った方が早い場合もあります。
抵抗器やMLCCなら、
PSUメーカー
電源基板メーカー
サーバーODM
EMS
なども候補です。
つまり営業先を探す場合は、
誰が使うか
だけでなく、
誰が設計するか
誰が仕様を決めるか
誰が認定するか
誰が購買するか
を見る必要があります。
AIサーバー市場では、この仕様決定者を間違えると営業活動が遠回りになります。
AIサーバー部品を見るときの注意点
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AIサーバー市場は注目度が高いだけに、数字が大きく見えやすい市場でもあります。
特に注意したいのが、
AIデータセンター市場が30%成長する
↓
自社の部品も30%成長する
という考え方です。
実際にはそうなりません。
ラック当たりの搭載量が増える部品もあります。
逆に統合されて減る部品もあります。
新しい方式へ置き換わる部品もあります。
競合メーカーのシェアが変わる場合もあります。
したがって需要を見るなら、
AIラック台数
↓
システム構成
↓
搭載回路
↓
部品機能
↓
1台当たり採用量
↓
採用メーカー
↓
量産時期
まで追う必要があります。
ここまで追って初めて、
AI需要が自社製品へどの程度波及するか
を考えられます。
日本企業の本当の狙い目は「GPUから1段、2段、3段下」にある
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AIサーバー市場を見ると、どうしてもNVIDIA、GPU、HBMが目に入ります。
しかし日本企業にとって営業機会が広がりやすいのは、その下です。
GPU
↓
ICパッケージ基板
↓
PCB
↓
基板材料
あるいは、
GPU
↓
電源回路
↓
MLCC・インダクター・コンデンサー・抵抗器
さらに、
GPU
↓
発熱
↓
TIM
↓
コールドプレート
↓
QD・ホース・マニフォールド
というように、一段ずつ下りていきます。
私がAIサーバー市場を見るなら、
「何が伸びるか」
より、
「伸びる製品を作るために、次に何が必要になるか」
を追います。
製造業のBtoB営業では、この方が具体的な会社名へたどり着きやすいからです。
AIサーバー市場は、GPUメーカーだけの市場ではありません。
その周囲にある、
材料
部品
加工
設備
検査
実装
流体
熱
電源
まで含めて初めて、製造業の市場になります。
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この記事ではAIラックのBOM全体を見ましたが、液冷・TIM・コールドプレートなどの放熱分野だけでも非常に多くの企業と部品があります。
「電子機器の放熱材料・冷却部品市場2027-2030」では、
TIM
ヒートシンク
グラファイト
ヒートパイプ
ベイパーチャンバー
コールドプレート
QD
CDU
冷却液
センサー
などを、市場、技術、メーカー、国内案件、営業先、新規参入まで整理しています。
PDF147ページ+Excelデータです。
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AIサーバーを受動部品まで分解して考える場合、チップ抵抗器も重要なテーマです。
「世界のチップ抵抗器市場 2027-2029」では、
市場規模
主要企業
AI・EV需要
価格
材料
サプライチェーン
調達判断
まで整理しています。
PDF131ページの法人向け調査レポートです。
FAQ
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AIサーバー1ラックにはGPUが何個入っていますか?
ラックによって異なります。
具体例としてNVIDIA GB200 NVL72では、36基のGrace CPUと72基のBlackwell GPUで構成されています。
GB300 NVL72も72基のBlackwell Ultra GPUと36基のGrace CPUを統合したラックスケールシステムです。
すべてのAIサーバーラックが72GPUという意味ではありません。
AIサーバーラックにはGPU以外に何が入っていますか?
コンピュートトレイ、NVLinkスイッチ、ネットワーク機器、電源棚、バスバー、PCB、コネクタ、液冷マニフォールド、コールドプレート、受動部品、センサー、ファンなど、多数の部品があります。
GPUだけでラックは成立しません。
日本企業が狙いやすい部品は何ですか?
公開情報から具体的な接点を確認しやすい分野として、ICパッケージ基板、高多層PCB、低損失基板材料、高速コネクタ、MLCC、コンデンサー、抵抗器、TIM、QDなどがあります。
ただし、企業ごとの採用状況や取引関係は個別確認が必要です。
液冷になるとファンは不要になりますか?
すべて不要になるわけではありません。
NVIDIAのDGX GBラックスケールシステムでもCPU・GPUは液冷される一方、ネットワークやストレージなど一部の部品では空冷が使用されています。
液冷と空冷を併用するハイブリッド構成として見る方が正確です。
AIサーバーにはチップ抵抗器も使われますか?
使われます。
抵抗器は電流検出、電圧分割、プルアップ・プルダウン、ダンピング、放電など多数の回路で使用されます。
ただし特定ラックの正確な搭載点数は公開BOMがなければ断定できません。
「AIサーバー1台に○個」といった数字を根拠なく使わないことが重要です。
中小製造業でもAIサーバー市場へ参入できますか?
可能性はあります。
完成したAIサーバーを作る必要はありません。
金属加工、シール、QD、ホース、TIM、センサー、基板実装、めっき、洗浄、リーク試験、検査など、BOMや製造工程を細かく分解すると参入候補は増えます。
AIサーバー部品を売るなら誰へ営業すればよいですか?
部品によって異なります。
サーバーOEM・ODM、ラックインテグレーター、PCBメーカー、電源メーカー、液冷メーカー、CDUメーカー、EMSなどが候補になります。
最終利用者ではなく、「誰が仕様を決めているか」から営業先を探すことが重要です。
まとめ
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AIサーバー1ラックを分解すると、GPUとHBMだけではない巨大なBOMが見えてきます。
演算。
基板。
電源。
接続。
冷却。
受動部品。
監視。
この各層に部品があります。
日本企業を見ると、
イビデンのICパッケージ基板。
メイコーの高多層PCB。
パナソニック インダストリーの基板材料やコンデンサー。
TDKのMLCC。
ヒロセ電機の高速コネクタ。
日東工器のQD。
信越化学のTIM。
KOAの抵抗器。
など、GPU以外にも多くの接点があります。
AI市場を見るときに、
「NVIDIAが伸びる」
で止めないことです。
GPUが増える。
電力が増える。
熱が増える。
通信量が増える。
基板が高度化する。
そこから、
次に必要になる部品は何か
まで追います。
製造業にとって本当に重要な市場は、この「GPUの外側」に広がっています。

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